「イタリア映画祭2024」オンライン開催決定!ここでしか見られない貴重な過去上映作もラインナップ

2001 年から毎年ゴールデンウィークの風物詩として開催され、2024年で24 回目を迎えた「イタリア映画祭」。この度、本年度も大盛況で幕を閉じた本映画祭が、オンラインで追加開催されることが決定した。

今年も大賑わいで幕を閉じた映画祭が帰ってくる!

東京と大阪の2 会場で開催された「イタリア映画祭2024」で上映された8作品に加え、過去の映画祭で上映された日本劇場未公開の5作品、さらには日本劇場未公開の短編映画2 作品をあわせた全15 作品がオンラインで復活!新作「墓泥棒と失われた女神」の公開が間近に迫る、今最も注目すべき監督アリーチェ・ロルヴァケルの記念すべきデビュー作や、『エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命』『夜の外側 イタリアを震撼させた55 日間』と今年2 本も日本公開が続いた巨匠マルコ・ベロッキオが手掛けるドキュメンタリー作品、最新作『潜水艦コマンダンテ 誇り高き決断』が公開間近のエドアルド・デ・アンジェリス監督の出世作など、ここでしか見ることができない注目作が多数ラインナップされている。

オンライン映画祭の実施期間は6 月27 日(木)から7 月28 日(日)までの1 か月間。新作は1,500 円、過去作は1,000 円となり、購入後72 時間以内に視聴が可能、さらに短編映画は無料で誰でも鑑賞できる。サブスク配信やソフト化もされていない貴重なイタリア映画の数々を観ることができる貴重な機会となっている。

◆イタリア映画祭2024 上映作品

人生の最初の日
[2023/121 分]原題:Il primo giorno della mia vita
監督:パオロ・ジェノヴェーゼ Paolo Genovese
出演:トニ・セルヴィッロ、ヴァレリオ・マスタンドレア、マルゲリータ・ブイ
世界20 カ国以上でリメイクされた『おとなの事情』をはじめ、物語の設定と語り口の巧みさには定評があるパオロ・ジェノヴェーゼ監督の新作は、人生に絶望した人々が再生できるかを問いかけるドラマで、トニ・セルヴィッロ、ヴァレリオ・マスタンドレア、マルゲリータ・ブイら超豪華キャストが集結。1 人の男と2 人の女、そして1 人の少年。年齢も経験も異なる4 人がどん底に突き落とされたまさにその時、自分たちがいない世界はどうなるかを知ることができる1 週間の時間を与えてくれる謎めいた男に出会う。

アモーレの最後の夜
[2023/124分]原題:L'ultima notte di Amore
監督:アンドレア・ディ・ステファノ Andrea Di Stefano
出演:ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ、リンダ・カリーディ
俳優としても活躍するアンドレア・ディ・ステファノの監督3作目は、イタリア映画界を代表する俳優の一人であるピエルフランチェスコ・ファヴィーノを主演に迎えたクライムサスペンスで、ベルリン国際映画祭特別部門でプレミア上映された。35年間のキャリアの中で、銃を撃ったことは一度もなく、実直な警察官のフランコ・アモーレは、定年退職を翌日に控えていた。祝福するために妻や同僚、友人、親戚などが集うパーティーが開かれる。めでたい夜になるはずが、彼の人生において最も長く、困難な夜が訪れることになる。

ルボ
[2023/180分]原題:Lubo
監督:ジョルジョ・ディリッティ Giorgio Diritti
出演:フランツ・ロゴフスキ、クリストフ・セルメ、ヴァレンティーナ・ベッレ
ジョルジョ・ディリッティ(『やがて来たる者へ』)の長編5作目は、第2次世界大戦下のスイスで移動型生活集団のイェニッシュを襲った悲劇をベースに創作された大作。1939年、大道芸人のルボはドイツ軍の侵攻を防ぐため、スイス軍に招集される。その直後、優生学の原理に基づく国家の再教育プログラムの一環として3人の子供は連れ去られ、それを止めようとした妻は殺されてしまう。主演は、国際的活躍がめざましいドイツのフランツ・ロゴフスキ。ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門出品。

そう言ったでしょ
[2023/100分]原題:Te l’avevo detto
監督:ジネヴラ・エルカン Ginevra Elkann
出演:ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ、ヴァレリア・ゴリーノ、アルバ・ロルヴァケル
豪華キャストを迎えたジネヴラ・エルカンの長編2作目は、異常気象で冬に50度に達するローマを舞台に、様々な問題を抱える人々を描くディストピア的群像劇。わずかなファンにしがみつく元ポルノスターと彼女に夫を寝取られた妻。元ヘロイン中毒の神父とアメリカから亡き母の遺灰を持ってやって来るその妹。アルコール中毒と闘いながら幼い息子の親権を取り戻そうと必死な女性とその元恋人。世界が終末に向かっていくような中で、人々は避けてきた個々の問題に向き合わざるをえなくなる。

あなたのために生まれてきた
[2023/113分]原題:Nata per te
監督:ファビオ・モッロ Fabio Mollo
出演:ピエルルイージ・ジガンテ、テレーザ・サポナンジェロ
親権を得るために同性愛者が闘う姿を描くファビオ・モッロの監督5作目は、現在における家族の形を問いかける感動的なドラマで、実話を基にしている。カトリック教徒で情熱的なルカは、障害者施設でボランティアをしているゲイのナポリ人。子供を迎えいれて、パートナーと共に親になることを望むルカだが、同性愛者のカップルや単身者には養子縁組は認められていなかった。生まれて間もなく病院に置き去りにされたダウン症児アルバの親になろうとルカは奮闘するが、なかなか報われない。

まだ明日がある
[2023/118分]原題:C'è ancora domani
監督:パオラ・コルテッレージ Paola Cortellesi
出演:パオラ・コルテッレージ、 ヴァレリオ・マスタンドレア
人気コメディエンヌのパオラ・コルテッレージの監督デビュー作。取りあげたテーマは、家庭内虐待と女性の権利で、戦後のローマで夫からの虐待に苦しむ主婦を本人が演じている。デリアは、イヴァーノの妻で3児の母。イヴァーノは、時には辛辣な言葉で、時には暴力で一家の大黒柱が誰なのかを皆に思い知らせていた。娘の幸せだけを願うデリアに謎めいた手紙が届き、彼女の人生が変わる。本国ではハリウッドの並み居る大作を押しのけて、2023年の興行収入ランキングNo.1になる大ヒットを記録した。

信頼
[2024/136分]原題:Confidenza
監督:ダニエーレ・ルケッティ Daniele Luchetti
出演:エリオ・ジェルマーノ、ピラル・フォリアーティ、ヴィットリア・プッチーニ
ダニエーレ・ルケッティ監督は、『靴ひものロンド』に続いて重鎮ドメニコ・スタルノーネのベストセラー小説から、スリリングな心理ドラマを仕立てた。教え子たちから慕われる高校教師ピエトロは、かつての教え子テレーザとの間に愛を見出す。彼女の提案で、互いの知られざる秘密を打ち明けようと提案する。それは、公になればその人の人生が壊れてしまうような衝撃的な秘密だった。主演は、ルケッティ作品に4度目の出演となるジェルマーノ。音楽はレディオヘッドのトム・ヨーク。

別の世界
[2024/114分]原題:Un mondo a parte
監督:リッカルド・ミラーニ Riccardo Milani
出演:アントニオ・アルバネーゼ、ヴィルジニア・ラッファエーレ
イタリア喜劇を牽引するヒットメーカー、リッカルド・ミラーニ監督が最新作で主演に迎えたのは、『環状線の猫のように』などでおなじみのアントニオ・アルバネーゼ。これで5度目となる息の合ったタッグが、都会と田舎のギャップで笑いを誘う。長年ローマで小学校教師を務めてきたミケーレは、大都会での暮らしに嫌気が差していた。希望が叶い、新たに赴任することになったのはアブルッツォ州の小さな村。ローマからそれほど離れていないのに、雪が降りしきる極寒のその地は全くの別世界で、日々の生活に悪戦苦闘する。

◆過去上映作

スーパーヒーローズ
[2021/121分]原題:Supereroi
監督:パオロ・ジェノヴェーゼ Paolo Genovese
出演:アレッサンドロ・ボルギ、ジャズミン・トリンカ、グレタ・スカラーノ
『人生の最初の日』のパオロ・ジェノヴェーゼ監督の最新作は、論理的思考の持ち主である物理教師マルコと、衝動的な漫画家アンナの若いカップルの大恋愛劇。しばしば喧嘩し、噓もついたりして危機的状況を迎える2人だが、なんとかそれを乗り越えようとする。主演は、イタリア映画界を代表する顔となったジャズミン・トリンカと人気急上昇中のアレッサンドロ・ボルギ。

存在しない南
[2013/90分]原題:Il sud è niente
監督:ファビオ・モッロ Fabio Mollo
出演:ミリアム・カルクヴィスト、ヴィニーチオ・マルキオーニ
『あなたのために生まれてきた』のファビオ・モッロ監督の長編デビュー作。イタリア南部の港町、17歳のグラツィアは、5年前に死んだとされる兄の不在に苦しみ、兄について沈黙する父には反発していた。ある日、海に入ると兄らしき姿が現れる。兄の生存を信じ始めたグラツィアは、真実を探し求める。その頃、魚屋を営む父親は、マフィアから店の売却を迫られていた。リアルな映像に詩的な表現を時おり織り込みながら、親子の愛憎だけでなく社会の問題も描く本作は、トロント国際映画祭などに招待された。

切り離せないふたり
[2016年/104分] 原題:Indivisibili
監督:エドアルド・デ・アンジェリス Edoardo De Angelis
出演:アンジェラ・フォンターナ、マリアンナ・フォンターナ
新作『潜水艦コマンダンテ 誇り高き決断』が7月に公開されるデ・アンジェリス監督の3作目。18歳になろうとしている結合性双生児の姉妹デジーとヴィオラは、美しい歌声で息の合った歌を結婚式などで披露して、家族のために生計を立てていた。けれども、ショーを見た医師から手術によって二人は別々になれると言われ、安定していた関係が揺らぎ始める。主人公の設定は大胆だが、ストーリーの根底にあるテーマは普遍的な本作は、ヴェネチア国際映画祭ヴェニス・デイズ部門に出品され、Pazinetti Priza最優秀作品賞を、ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞では助演女優賞など最多6部門で受賞した。

天空のからだ
[2011年/100分] 原題:Corpo celeste
監督:アリーチェ・ロルヴァケル Alice Rohrwacher
出演:イーレ・ヤラ・ヴィアネッロ、サルヴァトーレ・カンタルーポ
新作『墓泥棒と失われた女神』が7月に公開されるアリーチェ・ロルヴァケル監督のデビュー作。思春期の少女がとまどいや葛藤を抱きつつも自分なりの生き方を見つけていく歩みを、繊細な演出と瑞々しい映像でたどる。13歳のマルタとその家族はスイスから10年ぶりに帰国し、南イタリアのレッジョ・カラブリアに再び住み始める。カトリックの儀式を受けるために、マルタは教会の日曜学校に通うが、その世界になかなかなじめないでいた。本作は、カンヌ国際映画祭監督週間に選ばれたのをはじめ、数多の映画祭で上映された。

マルクスは待ってくれる
[2021/90分]原題:Marx può aspettare
監督:マルコ・ベロッキオ Marco Bellocchio
出演:マルコ・ベロッキオらベロッキオ家の人々
今年、日本で『エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命』『夜の外側 イタリアを震撼させた55日間』と公開作が2本ある巨匠マルコ・ベロッキオ監督のドキュメンタリー。ベロッキオ家の人々や関係者の証言、ニュース映像などを重ねながら、若くして脚光を浴びたマルコとは異なった道を進んだ双子の弟カミッロが29歳の若さで自殺した真相に迫る。また、同時にその死が監督自身の人生やフィルモグラフィーにどのような影響を与えてきたのかも明かされていく。

◆短編作品

ゾンビ
[2020/13分]原題:Zombie
監督:ジョルジョ・ディリッティ Giorgio Diritti
マルコ・ベロッキオらによって設立されたファーレ・チネマ財団におけるジョルジョ・ディリッティ監督の脚本・監督コースの最後に、受講生たちとのワークショップで制作された短編。親子関係をテーマにした本作は、ヴェネチア国際映画祭で上映された。ボッビオの街はハロウィーンで活気づき、娘は胸を躍らせるが、母親には秘められた計画があった。

カンツォーネ
[2014年/12分] 原題:Una canzone
監督:アリーチェ・ロルヴァケル Alice Rohrwacher
創立90周年を記念して、イスティトゥート・ルーチェが10人のイタリア人映画監督にアーカイブ映像を使用しての制作を依頼したオムニバス「9x10 novanta」シリーズの一編。アリーチェ・ロルヴァケル監督の短編は、インタビューと万華鏡のような驚くべき映像で構成され、私たちと歌の関係について問いかける。

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