山奥の秘湯から風情あふれる混浴風呂まで…“温泉の醍醐味”を堪能できる、至高の〈露天風呂〉10選【温泉博士がおすすめ】#露天風呂の日

(※写真はイメージです/PIXTA)

6月26日は「露天風呂の日」。開放感あふれる自然のなかで浸かる露天風呂ほど格別なものはありません。今回、温泉博士である小林裕彦氏の著書『温泉博士×弁護士が厳選、とっておきの源泉かけ流し325湯』(合同フォレスト)より、全国にある「源泉かけ流し」の露天風呂のなかから、選りすぐりの10ヵ所を紹介します。

風情ただよう全国各地の「露天風呂」

1.【岩手県】松川温泉 松楓荘

[画像1]無上の幸福感に浸れる露天風呂 出所:『温泉博士×弁護士が厳選、とっておきの源泉かけ流し325湯』(合同フォレスト)より抜粋

松川温泉は、地熱発電で有名な温泉地です。ここと松川荘、峡雲荘の3軒の旅館があり、どこも良い個性があります。

つり橋を渡っていく混浴露天風呂は、なかなか味があります。岩をくり抜いた浴槽に、こってりした白濁の硫黄泉が蓄えられています。絵になる露天風呂です。

内湯は、源泉が少し青白色に見えます。熱めとぬるめがあります。いかにも湯治場らしい風情です。

これ以外にもう一つ、混浴露天風呂と岩風呂があります。旅館の規模に比べて浴槽が多いです。

硫黄臭と白濁の硫黄泉は、やはり温泉の醍醐味です。

2.【岩手県】藤七温泉 彩雲荘

[画像2]泥に埋まってしまいます 出所:『温泉博士×弁護士が厳選、とっておきの源泉かけ流し325湯』(合同フォレスト)より抜粋

世の中には、いろんな温泉があります。

ここの混浴露天風呂は、何ヵ所かある自然の源泉の湧出口から源泉が湧いています。

座る場所を間違えると「あちっ」ということになります。そこら中でボコボコ源泉が湧いています。感動です。泥がたまっています。座ると泥で埋まります。

露天風呂で、女性は湯浴み着を着て浸かっています。男性の海水パンツなどは、用意されていません。皆さん、おおらかに足元湧出の本物の源泉を楽しんでいます。

足元湧出の源泉のせいか、浸かっているとかなり疲れます。この他、男女別の内湯と露天風呂があります。

泉質は当然のことながら硫黄泉です。

3.【岩手県】網張温泉 休暇村岩手網張温泉

[画像3]自然と一体になった混浴の仙女の湯 出所:『温泉博士×弁護士が厳選、とっておきの源泉かけ流し325湯』(合同フォレスト)より抜粋

宿からしばらく山道を歩いていくと、「仙女の湯」と名付けられた混浴露天風呂が現れます。深山に硫黄泉の芳しい香りが立ち込めています。深緑に白濁の硫黄泉が映えます。ただし、冬場は閉鎖されるそうです。

ぬるめの硫黄泉がかけ流されています。あまり刺激の強くない、やわらかい硫黄泉です。自然の中に溶け込んでいる感じがします。そのせいか、皆さんあまり恥ずかしいといった気持ちを持たずに、楽しんでいます。

施設内にも、露天風呂や内湯があります。こちらは、どちらかというと熱めです。

岩手山の火口から湧出した温泉を引いているとのことで、泉質とロケーションに恵まれた温泉です。

4.【秋田県】南玉川温泉 湯宿 はなやの森

[画像4]目にも鮮やかなみかん色の温泉 出所:『温泉博士×弁護士が厳選、とっておきの源泉かけ流し325湯』(合同フォレスト)より抜粋

かなりアクセスが困難な場所にあります。

露天風呂は太陽光を浴びて、目にも鮮やかなみかん色になります。ナトリウム-硫酸塩泉です。敷地内から源泉が湧出しています。約60度の源泉が毎分300リットルということですから、湯量に恵まれています。源泉には、二酸化炭素もかなり含まれています。源泉は透明ですが、酸化して写真のようなみかん色になります。

鉄分を含んで茶色になる温泉はいくつかありますが、みかん色は非常に珍しい。浸かると、ずっしりとした泉質の濃さを感じます。浴槽の中には温泉成分が至る所で凝固しています。

秘湯ですが、建物は快適でしゃれています。

5.【福島県】会津西山温泉 滝の湯

[画像5]静寂が落ち着きを誘う露天風呂 出所:『温泉博士×弁護士が厳選、とっておきの源泉かけ流し325湯』(合同フォレスト)より抜粋

含硫黄-ナトリウム-塩化物泉です。源泉は少し緑色がかっていて、湯の花が浮いています。

この温泉地の旅館3軒は、すべて源泉かけ流しです。山奥の秘湯です。

滝の湯の露天風呂は、一部の時間帯を除いて混浴です。静寂な空間で、川のせせらぎの音しか聞こえません。そのため、落ち着いて長湯してしまいます。

内湯は男女一つずつです。共同源泉と自家源泉をそれぞれ引いていて、微妙に泉質が異なります。浸かると、滑らかでしっとりした感じです。とろみのあるやわらかい源泉が、全身を包み込んできます。

温泉分析書には表れない泉質の良さを感じます。

これぞ「本物」の源泉かけ流し!一度は足を運びたい、珠玉の露天風呂

6.【福島県】会津中ノ沢温泉 いろり湯の宿 大阪屋

[画像6]見事なばかりの青白色の硫黄泉 出所:『温泉博士×弁護士が厳選、とっておきの源泉かけ流し325湯』(合同フォレスト)より抜粋

鮮やかな青白色の硫黄泉です。

源泉は沼尻元湯です。硫黄臭立ち込める沼尻元湯には、1分間当たりなんと1万リットルもの源泉が湧いています。それを6キロメートル引き湯しています。そんな距離を引き湯すると、泉質が落ちそうですが、ここはかえって有毒ガスが抜けて“こなれた良い泉質”になるようです。

温泉地には、何軒か旅館があります。泉質はどこも大体同じで、すべて源泉かけ流しです。強酸性の硫黄泉なので、忌まわしい循環装置はすぐに壊れてしまいます(^^)。

露天風呂と内湯があり、しばらく人が入らないと硫黄分が底にたまります。足で底をかき回すと、透明だった温泉がすぐに青白色に濁ります。

7.【富山県】たから温泉

[画像7]濃い緑白色の露天風呂 出所:『温泉博士×弁護士が厳選、とっておきの源泉かけ流し325湯』(合同フォレスト)より抜粋

ナトリウム・カルシウム-塩化物泉です。温泉成分表の話をすると少し退屈なので省略しますが、ここは全体的にさまざまな温泉成分が濃い温泉です。

浸かった瞬間、塩分をはじめとする温泉成分が肌にピリッときます。源泉が49度と熱めなので、なおさらぐっときます。源泉の色は温泉成分の濃さを反映して、濃いめの緑白色です。

油臭が強烈です。石油系というよりナフタリン系という方がいいかもしれません。内湯に浸かると、油臭で頭がクラクラします。

旅館の名物はタラ汁で、お鍋にいっぱい出てきます。温泉同様、パワフルな食べ物です。

8.【山梨県】奥山温泉

[画像8]山梨県の温泉らしい、ぬる湯の露天風呂 出所:『温泉博士×弁護士が厳選、とっておきの源泉かけ流し325湯』(合同フォレスト)より抜粋

JR身延線の井出駅という無人駅から、車で30分ほどです。

それにしても、ここはかなりの秘湯です。周りには山以外、何もありません。深い山の中の一軒宿です。秘湯ですが、建物はきれいで、浴槽は広いです。

南部町営の施設ですが、今は指定管理で民間の会社が経営しています。

アルカリ性単純泉です。42度の源泉をそのままかけ流しています。毎分200リットルの湧出で、湯量も十分です。浸かると、つるつる感がすごい。硫黄臭もします。アトピーなどによさそうな、やわらかい泉質です。

露天風呂は広くて少しぬるめですが、あえて加温していません。

9.【長野県】八ヶ岳縄文天然温泉 尖石の湯

[画像9]サルフェートを多く含む黄土色の温泉 出所:『温泉博士×弁護士が厳選、とっておきの源泉かけ流し325湯』(合同フォレスト)より抜粋

循環風呂の施設が「天然温泉」と平気で名乗っている場合があるので、注意が必要です。

この旅館は、本物の源泉かけ流しです。まさに本来の意味での天然温泉です。

ナトリウム-硫酸塩・炭酸塩・塩化物泉です。

自然の中に造られた露天風呂は、風情があります。黄土色の色鮮やかな源泉です。少し塩味があります。浸かると、じんわり温まってきます。

サルフェート(硫酸塩)の含有量の多さを売りにしています。サルフェートには利尿作用があり、デトックスの効果が見込めるそうです。

健康を意識した旅館で、湯治宿泊や「温泉ジュース断食プラン」もあるようです。

10.【長野県】葛温泉 髙瀬舘

[画像10]広くて開放的な露天風呂 出所:『温泉博士×弁護士が厳選、とっておきの源泉かけ流し325湯』(合同フォレスト)より抜粋

単純泉です。

最寄りは、JR大糸線信濃大町駅です。山の中の秘境です。この温泉地には、髙瀬舘以外に仙人閣、湯宿かじかと、合計3軒の源泉かけ流しの旅館があります。

温泉地の湯量は豊富で、源泉温度も80度と高いです。他の温泉地にも源泉を供給しているようです。

広くて開放的な露天風呂がいいでしょう。湯量が豊富だからこそ、実現できる広さです。もちろん内湯もあります。

浸かると、実にマイルドで滑らかな泉質です。単純泉とはいえ、温泉成分が豊富な感じがします。じわーっと温まってきます。

信州の温泉らしい風情を感じます。

小林裕彦
小林裕彦法律事務所
代表弁護士

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