【北九州記念】開幕週で"めっちゃ使える"3つのデータ  浮上した買うべき3頭は?

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「開幕週」がポイント

今年の北九州記念には、例年と大きく異なる点が一つある。熱心なデータ派なら既にお気付きだろう。それは夏の開幕週に行われることだ。06年にスプリント戦となって以降、8月中旬に組まれていた一戦。しかし、今年は阪神競馬場のスタンド改修工事に伴う開催変更のため、夏競馬は中京と小倉が入れ替わる形に。そのため、CBC賞と北九州記念の開催時期も入れ替わり、北九州記念は夏の小倉開幕を告げるレースとなったのだ。

よって、過去の北九州記念の傾向を調べても大して意味がない。参考にしたいのは、夏の小倉開幕週の芝1200m戦の傾向だ。(1)夏の小倉開幕週、(2)芝1200m、(3)古馬2勝クラス以上。この3つの条件に当てはまるレースは過去10年で12鞍。これらのレースを分析した結果、使えるデータが3つも見つかった。順番に紹介しよう。

(1)若ければ若いほど良し
年齢別成績を見ると、3歳が【4-2-1-10】の勝率23.5%、複勝率41.2%と好成績。これに続くのが4歳で【5-1-2-22】の勝率16.7%、複勝率26.7%。年齢が上がるにつれて成績は落ち込み、5歳は【3-6-4-40】の勝率5.7%、複勝率24.5%だから少し詰めが甘い印象。そして6歳以上は【0-3-5-52】の勝率0.0%、複勝率13.3%だから手を出しづらい。高齢になって衰えるのはスタミナよりもスピード。それゆえ、開幕週特有の高速決着に対応できないのは納得がいく。

(2)逃げ先行馬が強い
逃げ馬が圧倒的に強く、5勝を挙げている。重賞に限れば、21年CBC賞のファストフォース、22年CBC賞のテイエムスパーダと2戦2勝だ。こう書くと〝どの馬が逃げるか分からない〟という人もいるだろうが、至極ごもっとも。そこで注目したいのは前走の3角の通過順位だ。2番手以内だった馬は【5-2-3-17】の勝率18.5%、複勝率37.0%。回収率は単勝が127%、複勝でも89%ある。前走で2桁着順だった馬も4頭が馬券に絡んでいるので、少なくとも押さえには加えたい。

(3)斤量を要チェック
斤量は必ずチェックしたい。前述のテイエムスパーダが勝った時は48kgのハンデが話題となったが、逆に斤量が重い馬はどうか。実は57kgの馬(57.5kg以上は該当馬なし)は、延べ61頭で【1-6-4-50】の勝率1.6%、複勝率18.0%と馬券にこそ絡んでいるが勝ち切れない。今年の北九州記念では重いハンデを課せられた実力馬が多くいるが、勝ち切るとなるとどうか……。

以上の3つのデータを信頼すれば、自然と3歳の3頭に目がいく。とりわけ葵Sを逃げ切ったピューロマジックは最有力。また、同レースで2番手追走から2着のペアポルックス、3番手追走から3着のナナオも勝ち負け必至だろう。芸がないと言われそうだが、葵Sの〝再現馬券〟はしっかりと買っておきたい。一方、古馬勢はあくまでヒモ候補だが、〝先行力のある4~5歳馬〟という観点から、グランテストとサーマルウインドを押さえたい。

《ライタープロフィール》
逆瀬川龍之介
国内の主要セール、GⅠのパドックはもちろん、時には海外のセリにも足を運ぶ馬体至上主義のライター。その相馬眼を頼りにする厩舎関係者、馬主は少なくない。一方、マニアック、かつ実用的なデータを駆使して、ネット媒体や雑誌などにも寄稿するなど、マルチな才能を持っている。



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