松たか子だけじゃない!被害者役にも注目『古畑任三郎』にひっそり出演の「売れっ子俳優」たち

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放送開始30年を迎えてもいまだ高い人気を誇る『古畑任三郎』シリーズは、脚本家・三谷幸喜さんの代表作として知られている。二枚目スターの田村正和さんがコミカルな刑事を好演した姿は、多くの日本人が記憶しているだろう。そんな本作の魅力のひとつといえば、毎回豪華なゲスト俳優が犯人役を演じ、古畑と対決していることだ。

しかし実は本作では犯人役以外でも、今では売れっ子になった俳優たちが出演している。今回はそんな『古畑任三郎』シリーズに出演した意外な人物をまとめていこう。

■松たか子の初々しい演技が話題!

『古畑任三郎』シリーズに出演していた意外な人物として最初に紹介したいのが、今や日本を代表する名優となった松たか子さんだ。松さんは『カルテット』や『大豆田とわ子と三人の元夫』など数多くの主演作があるが、実は彼女がブレイク前、『古畑任三郎』に出演していたことを知らない人も多いだろう。

彼女が出演したのは、第2シリーズの第8話「魔術師の選択」だ。このエピソードでは、山城新伍さんが犯人である元一流マジシャン・南大門昌男を演じている。騙しのプロであるマジシャンと犯罪捜査のプロである古畑の心理戦が描かれたエピソードだ。松さんが演じたのは新人マジシャンの毛利サキ役で、まだ初々しさを残す彼女の姿が見られる。

松さんは実は『古畑任三郎』シリーズと縁がある。父の松本白鷗(当時は松本幸四郎)さんは「古畑任三郎スペシャル すべて閣下の仕業」で、兄の松本幸四郎(当時は市川染五郎)さんは第3シリーズの第1話「若旦那の犯罪」で、それぞれ犯人役を演じている。この2人が犯人役で出演しているのは有名だが、松さんの活躍もぜひチェックしてみてほしい。

■ジブリ主演声優・森山周一郎が俳優として出演!

第1シリーズの第10話「矛盾だらけの死体」には、意外な人物が出演していた。このエピソードでは小堺一機さんが犯人の佐古水茂雄役として出演しているのだが、彼が仕える国会議員役・鵜野忠国を務めたのが、声優としても活躍した森山周一郎さんなのである。

その名前を聞いてもすぐにはピンと来ない人も多いかもしれない。しかし、ジブリ映画『紅の豚』のポルコ・ロッソ役の声優と聞けば、その渋い声を思い出す人も多いだろう。「飛ばねぇ豚はただの豚だ」という名セリフは、作品を観たことがない人でも知っているというほど有名だ。

そんな森山さんが『古畑任三郎』に出演したことはあまり知られておらず、アニメファンや声優ファンでも知る人ぞ知る事実となっている。森山さんは俳優としてもいぶし銀の演技で活躍し、大河ドラマや時代劇などにも数多く出演している。「矛盾だらけの死体」でも貫禄たっぷりの政治家としての演技を見せており、その渋い声で犯人である佐古水を無自覚に追い詰めていた。

■小日向文世は2回出演している!

現在では主演もこなす名バイプレーヤーの小日向文世さんは、本作に2回、別の役で出演している。1回目は、第3シリーズの第7話の「哀しき完全犯罪」だ。小日向さんは被害者の小田嶋佐吉役で登場していて、田中美佐子さん演じる妻の女流棋士・さくらに殺されてしまう。小日向さんといえば木村拓哉さん主演の『HERO』のイメージも強いが、このエピソードはそれよりも前。嫌味っぽく憎たらしい役どころで、小日向さんはさすがの演技力で見事に演じ切っていた。

また、小日向さんはシリーズの最終作となるスペシャル「ラスト・ダンス」にも出演している。このエピソードでは、作中に出てくるドラマ『鬼警部ブルガリ三四郎』の主演俳優としての登場だった。被害者役だった小日向さんが、再び本作に登場したことに胸を熱くする古畑ファンもいたことだろう。

「ブルガリ三四郎」は古畑任三郎をパロディにしたようなキャラで、小日向さんは古畑任三郎のモノマネを大げさになり過ぎない範囲で披露している。三谷さんによる遊び心たっぷりなキャラを実にコミカルに演じていた。

■被害者役にも意外なキャスト!

実は小日向さん以外にも、被害者役には意外な大物たちが名を連ねている。伊集院光さんや板尾創路さん、及川光博さん、角野卓造さん、栗田貫一さんなど、バラエティ豊かな人物がキャスティングされていたのだ。特に「すべて閣下の仕業」で被害者役を演じた及川光博さんは、このエピソードで大使館の参事官を演じており、序盤で退場するにもかかわらず「かっこよすぎる」「美しい」と話題になっていた。『古畑任三郎』シリーズを観る時には犯人役だけでなく被害者役にも注目してみると、新たな発見があって面白いかもしれない。

『古畑任三郎』シリーズは古畑任三郎と犯人の心理戦が魅力の作品だが、そのキャストも見どころのひとつだ。犯人役以外にも松さんや小日向さんなど豪華な顔ぶれが出演していて、いま見ると放送当時とは違った楽しみ方ができる。放送開始30周年を迎えてもなお愛され続ける名作、ぜひこの機会にあらためて視聴してみてはいかがだろうか。

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