「女性係長級比率ランキング」20位までを網羅! 女性が働きやすいどんな制度がある? 1位はおなじみのあの銀行!

「女性係長級比率ランキング」1位は三井住友銀行

女性係長級比率が高い企業を厚生労働省 女性の活躍推進事業「女性管理職比率の高い企業ランキング」から見てみましょう。「企業規模5001人以上」という条件でのランキングは次のような結果となりました。

出所:厚生労働省 女性の活躍推進事業「女性管理職比率の高い企業ランキング」 (2024年6月時点)

1位の三井住友銀行はほぼ100%に近い99.5%。そして2位の日本保育サービスは86.7%、3位のしまむらは77.3%と高い数字が続きます。

10位以下を見ても6割近い数字ばかり。国全体では18.7%※と2割に満たない状況ですから、およそ3倍の水準を保っているということです。

※厚生労働省「令和4年度雇用均等基本調査 企業調査結果概要」

ランキングに登場した企業は、女性活躍を促すためにどのような工夫をしているのでしょうか。主な取り組みを紹介します。

三井住友銀行は敷地内に保育園を設置

1位の三井住友銀行は従業員の約半数が女性。さまざまな面で女性が働きやすい環境を整えています。

たとえば働く場所に関しては、結婚や育児、配偶者の転勤などの際には、勤務地変更制度、勤務地選択制度が利用でき、また、希望地域を登録できる本拠地登録制度も整備されています。

保育環境の整備も、医療・介護・保育サービスを提供するニチイ学館と共同で進めています。東京や大阪の同行の建物内などに企業主導型保育園を設置しているほか、全国90カ所以上の園とも提携。ベビーシッター費用の援助をはじめ、経済的支援も行っています。

各種研修により女性のキャリアアップもサポート。次世代幹部候補を対象とした「ウィメンズリーダープログラムNext」を行い、経営者目線を養うための場を提供しています。意思決定力を養成し、思考力を磨くためのリーダーシップ研修には経営トップも参加し直接指導するなど、経営層からの期待を伝える取り組みを行なっています。

日本保育サービスは「現場→本部」に変更可能な職種も

2位の日本保育サービスは、子育て支援施設を運営するJPホールディングスグループ傘下の会社。約300の保育園や学童クラブ、児童館を運営しています。

同社では園長の上役として、地域の複数施設をサポートするエリア長や、本部で統括する保育部長などの役職があります。細やかなフォロー体制でキャリアアップへの不安を取り除きながら、キャリアパスを明確化して働く意欲を高めています。

入社後もキャリア変更ができるように、本部勤務の社員を対象に一般職、総合職のコース転換制度を用意。現場職から本部職に変われる、「総合職保育士」も採用しています。

しまむらは社員の休憩室を子どもに開放

3位のしまむらは、総合衣料品店「ファンションセンターしまむら」やカジュアル衣料品店「アベイル」などを運営する会社。店長の約7割が「M社員」と呼ばれるパート社員出身です。

M社員として想定しているのが、“能力がありながらフルタイムで働きにくい主婦層”です。独自の時間シフト制を取り入れることで、キャリアアップを実現しています。

子育てとの両立支援も充実しています。「子の看護休暇」は、体調不良はもちろんのこと予防接種日にも使用可能。休憩時間を使って学童保育へ迎えに行くと、退勤時まで店舗休憩室で過ごせる「子の休憩室利用」といった制度もあります。

日本生命は保育料金が「一律3万7100円」

4位の日本生命保険相互会社は、従業員の約9割が女性です。子育て支援のため、ニチイ学館と共に企業主導型保育所を全国に展開。保育料は世帯収入にかかわらず、月額3万7100円※と一定です。

※ 2021年8月現在、1人1カ月あたり料金

また営業部の管理職候補層を対象に、先輩女性管理職との交流ができる「きらめき塾」を開催。すでに管理職として働く女性向けに、社長と意見を交わし合う「女性部長職意見交換会」も実施しています。

高島屋は9パターンの勤務が可能

従業員のうち約7割が女性の百貨店大手・高島屋は7位にランクインしています。同社では子どもが小学校3年生を修了するまで、「短時間勤務」「始終業時刻固定のフルタイム」など、9パターンの中から働き方を選択できます。

休暇制度も豊富です。授業参観や運動会など学校行事があるときは、年2回「スクールイベント休暇」が取得できます。ほかには失効した有給休暇を積み立てて、育児や不妊治療にあてられる「リザーブ休暇」も用意されています。

常陽銀行の時短勤務は15分刻み

13位の常陽銀行は茨城県水戸市に本店を置く地方銀行です。1位の三井住友銀行と同じく、従業員の約半数を女性が占めています。

同行の時短勤務は子どもが小学校4年生の始期に達するまで可能です。勤務パターンは3時間~7時間15分の間、15分単位で選択できます。子育て支援手当の額は1人目10万円、2人目20万円、3人目からはなんと100万円。パート従業員も対象です※。

※対象となる子どもが満1歳になるまでの間に育児休職を5日以上取得すると支給

「連続休暇」制度を使えば、連続した5営業日の休暇を年1回とることができます。「アニバーサリー休暇」も年1日あり、誕生日や記念日に取得できます。

上位の金融機関と小売業は子育て支援が充実

ランキングの上位を占めるのが銀行や保険会社などの金融機関で、小売業が続きます。これらの業界はもともと女性従業員が多いこともあり、女性の活躍推進に力を入れてきました。取り組みの積み重ねが高い数字に結びついていると言えるでしょう。

共通するのが手厚い子育て支援です。各社が時短で働ける制度を整え、子どもの予定に合わせて休みを取得しやすい仕組みも用意。保育園設置や休憩室の開放など、子どもの受け皿づくりも目立ちます。

女性が社会で活躍するためには、子育てに関するサポートが欠かせません。今後も休暇制度や保育環境の整備など、総合的な対策が期待されます。

Finasee編集部

「インベストメント・チェーンの高度化を促し、Financial Well-Beingの実現に貢献」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAやiDeCo、企業型DCといった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。

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