「フィルムカメラ」若者に人気 リコーから新商品、中古カメラは販売台数増

リコーイメージングは、新作フィルムカメラ「PENTAX 17」を2024年7月12日に発売する。近年、若年層を中心にフィルムカメラの人気が高まっているため、新たな製品の開発を進めてきたという。

実際、フィルムカメラの需要は高まっているのか。写真・カメラの専門店「カメラのキタムラ」広報担当はJ-CASTニュースBizの取材に、同社の中古フィルムカメラの販売台数は伸び続けており、需要は拡大していると明かす。

「撮り直せない一瞬」に魅力感じる

「写真の質感がデジタルよりも柔らかくて好きです」――。こう取材に語るのは、東京都在住の女性Aさん(25)。2020年ごろからフィルムカメラを使い始めた。写りが思い通りにならず、写真がブレることで生まれる偶然で、良い写真が撮れる魅力があると話す。

北海道に住む男性Bさん(25)は、2020年にウクライナに行った際、現地でソ連時代のフィルムカメラを購入し使い始めた。「写真を撮る」という行為を楽しむために使っているが、現像する手間を要する。普段はデジタルカメラなどで撮影しているという。

東京都在住の女性Cさん(26)は、2017年ごろからフィルムカメラを使っている。「撮り直せない一瞬というところが、最大の良さだと思います」。ブレていても面白い写真になったり、光やフィルムの粗さで良い写真になったりする魅力があると語った。

コレクション需要も

「カメラのキタムラ」広報は、同社の中古フィルムカメラの販売台数は増加傾向にあると取材に明かす。2021年度は2万9000台、22年度は4万2000台、23年度は9万7000台。24年4月~5月も、同様の傾向がみられたと説明する。

フィルムカメラには、デジタルカメラにはない魅力がある点が人気だと指摘。その場でどのような写真が撮れているか分からないドキドキ感があり、独特な色味がある。また、中古のフィルムカメラは数千円から気軽に購入できるという。

カメラとしてのコレクション需要もある。「高級コンパクトカメラ」に分類されるモデルには、「ミノルタTC-1」「フジフイルム KLASSE W ブラック」「CONTAX T2」などがあると、広報。近年、この3種類の買い取り相場も上昇傾向にあるとの話だ。

「需要の規模としては、デジタルにはない魅力が8割、コレクション性が2割といったところだと思われます」

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