「どんどん劣化していく」ふるさと納税「ポイント消滅」で悲嘆に暮れる声…菅義偉氏ご自慢の功績に大ダメージ

ふるさと納税について説明を受ける菅義偉氏(2016年、写真・時事通信)

2008年から始まった「ふるさと納税」が岐路を迎えている。「生まれ育ったふるさとに貢献できる」「自分の意思で自治体を応援できる」を理念としているが、実態は、大都市と地方の格差をなくし、税収減に悩む地域にお金を回す仕組みとして生まれたものだ。

「地方に寄付すると、好みの返戻品をもらえることから、利用は拡大の一途をたどっています。2015年度に1653億円だった寄付額は、
2022年度に9654億円まで拡大しています。これだけの税金が大都市から地方に移ったわけですから、非常に大きな影響があったと言っていいと思います」(経済担当記者)

当初、返礼品の金額の上限はゆるく、一時は寄付額の7割を超えるようなものも存在した。

「しかし、自治体の返礼品競争が激しくなったため、総務省は2023年10月から返礼品を寄付額の3割以下に設定したのです。同時に、調達経費を、寄付額の5割以下にするよう通達しました。

そして6月25日、今度はふるさと納税仲介サイトが利用者に付与するポイントを来年10月から禁止することにしたのです。これは、利用者がポイント目当てで寄付する傾向が強まっており、しかもその原資は自治体が払う手数料が使われるケースも多く、『自治体を応援する』という本来の趣旨から逸脱していると判断されたわけです。

仲介サイトは『楽天ふるさと納税』『さとふる』『ふるさとチョイス』『ふるなび』の4社で9割のシェアを占めるとされ、多くが『ポイント還元20%』などと謳っています。

仮にポイント還元が10%だったとして、10万円寄付した場合、単純計算で自治体の返礼品3万円相当、ポイント1万円相当となりますから(自己負担2000円を除く)、多くのユーザーがポイント狙いだったのは間違いないでしょう。

今回の決定は、こうしたいびつな構造を是正し、自治体への配分額を増やすのが目的です。なお、クレジットカード決済によるポイント還元は関係ありません」(同)

こうした決定に、SNSでは、

《本来のふるさと納税のあるべき姿としてはそうあるべきなんだろうけどね やっぱ利用者からしたらポイントつかなくなるのは残念よね》

《電気代の補助金など遅いのに、こういった改悪だけ早いのはナゼなのか…泣》

《せっかくの便利な制度がどんどん劣化していくね…。ろくな事しない現政権》

《ふるさと納税、ほとんど終了のお知らせでは?》

などと、悲嘆に暮れる書き込みが多数見られた。また、実務が複雑なことから、《仲介サイトがポイント分丸儲けするだけじゃないの?ほんとに自治体の取分増えるのかね?》といった「自治体の負担を減らす」という効果に疑問の声も目立っていた。

ふるさと納税は、前述のとおり、2008年からスタートした。旗振りをしたのは、前年まで総務大臣を務めていた菅義偉前首相だった。菅氏は今でも自身のXに《昨年度のふるさと納税による寄付額が9,654億円、利用者が891万人とそれぞれ過去最高となりました》《当初は100億円程度でしたが、15年目になり1兆円に届くところまで多くの方に利用されています》と誇らしげに書いている。

だが、昨年、納税額が最も減少したのは、菅氏の地元の横浜市で、およそ260億円のマイナスとなっている。

「偶然の一致かもしれませんが、菅氏が総理大臣を辞してから、ふるさと納税はたびたび形を変えています。いい方向ではなく、利用者にとっては大幅な後退です。今回のポイント禁止は、もしかしたら、ふるさと納税ブームを一気に沈静化させる大ダメージになるかもしれませんね」(同)

菅氏の「にらみ」がきかなくなっているのかも――。

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