広島大学からパリ五輪めざす 新星スプリンター・山本匠真 「広大に金メダルを持って帰りたい」

TSSテレビ新広島

陸上。来月行われるパリオリンピックを目指すアスリートの話題です。
広島から世界を目指す新星スプリンターを取材しました。

陸上短距離界に突如あらわれた注目のアスリート。
広島出身広島大学工学部4年生の山本 匠真(やまもと しょうま)選手です。

去年のインカレで男子100メートル3位入賞を果たすと、その後も結果を出し、先月行われた世界リレーのメンバーに召集されました。
決勝で第一走者を務め、この種目で日本のオリンピック出場権獲得に貢献しました。

【山本匠真選手】
「ぶっちゃけ言うとここまで注目していただけると思ってなかった。世界の舞台に立てるとも思ってなかったので、メンタルが追い付いていないというのが正直な感想。
(世界リレー)決勝での舞台で一緒に走った選手の中には9秒台の選手もいた。日本では滅多に一緒に走れないような選手と走ることになったんですが、そういう人たちと走ってみて、こういう人たちに勝っていくような選手じゃないと世界の舞台じゃ活躍できないなとすごく感じた。自分のやれることをやって、どこまで上にいけるのかなという気持ち」

この大会で初めて日の丸を背負った新星に、同じ広島出身、男子100メートルの日本記録保持者山縣亮太選手は。

【山縣亮太選手】
「山本選手の飛び出しとかスタートの低さ、鋭さが持ち味だと思う。(世界リレーは)すごくいいレースだった。同じ広島の空気を吸っているアスリートということで僕自身はいつも活躍を気にしているし頑張ってほしい」

大学4年生ということで現在は研究や卒業論文に取り組む普通の大学生という一面も。
高校生までは県大会の決勝レベルだったという山本選手が大学で急成長した理由は?

【山本匠真選手】
「僕の中ではこれが第一位というより色んな要因色んなプラスがたくさん重なってできあがったものだと思っている。一番これっていうのは難しいんですけど、あげるとするならば『考えて練習するようになった』というのが一番かなと思います。
中学、高校まではがむしゃらに練習していたというか、先生に言われたメニューをやってそれが何に効くかとか考えずにただ量をこなしていた。大学に入って一番最初に言われたのが『成長期だと考えなくても伸びるけど大学に入ったらちゃんと考えないと伸びない』というのは一番最初に言われて、2、3年でじわじわ考えるようになって今では自分の強みもしっかりわかるようになった」

『考えて練習する』、その手助けとなったのが尾崎雄祐コーチ。
年に3回程度勉強会をひらきトレーニングに関する知識を教えてきました。

【尾崎雄祐コーチ】
「最初は彼もよく言うんですけど陸上部に入るような予定もなかったんです。走り方だけではなくトレーニングをどういう方向性でやってどういう状態になればいいのかっていう手掛かりがしっかりわかっていれば、自分にあった練習量だとか強度を調整できる。それが一番の強み、特徴の選手なのかなと思っています」

今月行われた布勢スプリントでは予選で自己ベストの10秒16をマークすると、決勝では元日本記録保持者の桐生祥秀選手も抑え2位に。
次なる舞台はパリオリンピックへの出場もかかる日本選手権です。

【山本匠真選手】
「自分の地元からでも世界を目指すような選手がいるんだだったら、自分でももっとできるんじゃないかとか。地元広島で生まれ育った町で世界で目指しているということ自体にすごく意味があると思っている。(日本選手権は)もともと表彰台という目標を掲げていたけど、ここまでトップ選手と戦えるようになったからには1位とらなきゃダメだなという気持ちはすごくある。優勝してこの広大に金メダルを持って帰りたいなと思います」

<スタジオ>
先月の世界リレー、予選を走ったサニブラウン選手の代わりに出場した決勝では堂々とした走りでした。

【コメンテーター:エディオン女子陸上部アドバイザー・木村文子さん】
「あの世界の舞台を経験して、さらに世界との差を実感した上でパリオリンピックを目指していると思います。彼の特徴としては、走るごとに修正する能力が高い。日本選手権では、予選、準決勝、決勝と3本あるので、修正していくと代表が見えてくると感じています」

これまであまり注目されていなかったが、急激に頭角をあらわしたのはどういう経緯があったのでしょうか。

【コメンテーター:エディオン女子陸上部アドバイザー・木村文子さん】
「コロナ禍の中では自分の力を試す大会も思うようになかったのだろう。その中で大学生になって自分で考えながら練習し、そして自分の力を試す場が増えてきて修正して今に繋がっているのではないかと思います」

山本選手は27日からの日本選手権でパリオリンピック出場を狙います。

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