老後に向けて貯蓄「2000万円」している50代は日本にどれくらいいる?

50代の貯蓄平均額はいくら?

金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和5年調査結果」によると、50代の平均金融資産保有額は1147万円でした。また、全体の中央値は300万円です。2000万円以上貯めている方は16.6%の結果でした。

結果からも分かるように、老後に2000万円は必要といわれるケースもありますが、50代の時点で実際に2000万円を貯めている方は比較的少ないといえるでしょう。

さらに、保有している金融資産別の金額を見てみると、最も多い金融資産は「運用または将来の備えのための預貯金」で、平均472万円でした。預貯金を除いた平均貯蓄に対する金融資産ごとの平均保有額は以下の通りです。

・株式:183万円
・生命保険:160万円
・投資信託:95万円
・個人年金保険:91万円
・財形貯蓄:67万円
・債券:28万円
・損害保険:20万円
・金銭信託:16万円
・その他金融商品:16万円

預貯金を除けば、株や保険、投資信託による貯蓄を行っている方が多い結果です。もし2000万円を貯めたい場合は、預貯金以外の手段も活用することを検討しておきましょう。

老後に向けていくら貯めればいい?

総務省統計局が公表している「家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、65歳以上かつ無職の夫婦世帯で必要な支出は、日常生活で必要な消費支出と税金や保険料などの非消費支出を合計して平均で月額28万2497円でした。また、年金を始めとする平均実収入は24万4580円のため、毎月3万7917円が不足する計算です。

夫婦が同じ年齢で、65歳から100歳まで生活するとしましょう。平均額を基にすると、35年間で必要な貯金は「3万7917円×12ヶ月×35年」で1592万5140円です。

ただし、あくまで同じ支出を続けた場合の金額のため、大きな病気やけがにより入院、治療が必要になった場合に備えると、もう少し多めの金額を貯金しておく必要があります。夫婦2人ともに万が一があったときも考えると、貯金は2000万円あればある程度余裕はあるといえるでしょう。

貯蓄方法は何がいい?

先述したように、預貯金のみで貯蓄形成をしている方はあまりいません。投資や保険を活用しているケースが多いといえるでしょう。投資を活用する方のなかには、利益が一定額まで非課税となるNISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)を利用している方もいます。

NISAのつみたて投資枠なら、1年間の投資限度額が120万円までの範囲内であれば1800万円まで非課税のまま保有可能です。また、iDeCoは60歳以降に受け取れます。60歳以降で受け取るお金は、退職所得や公的年金の控除として扱える点がメリットです。

さらに、積立預金や積立保険を利用する方法もあります。毎月決まった金額を貯めていくので、無理のない範囲で堅実な貯蓄が可能です。

50代で2000万円以上貯蓄している方は16.6%

50代の平均貯蓄額は2人以上の世帯で1147万円でした。一方、2000万円以上貯蓄している方は16.6%と少なく、多くの方は2000万円に満たない貯蓄額であることが分かります。

もし平均支出額通りであれば、毎月3万7916円が不足するため、不足分は貯金から補うことが必要です。すこしでも老後の資金を増やすためには、通常の預貯金だけでなく株や投資、積立保険なども活用するといいでしょう。

出典

金融広報中央委員会 知るぽると 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年) 表番号4 .6
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要(18ページ)

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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