市役所から住民税の滞納に関する「黄色い封筒」が届きました。まだ「赤色」ではないので猶予はあるでしょうか?

住民税の督促に関する封筒の色や文章は自治体によって違う

督促状の封筒の色は定められていません。自治体によって赤や黄色、紫、水色と採用されている色はさまざまです。また、自治体のホームページでも、封筒の色は明言されずに「目立つ色」としているケースが多くあります。

「黄色だからまだ大丈夫」「赤だからもう差し押さえられる」といった色での判断はしないようにしましょう。督促状が封入されている封筒には「重要書類」と大きく明記されているので、色だけでなく書かれている内容もしっかり読む必要があります。

なお、封筒の色にかかわらず、なるべく早く対応することが大切です。

督促を無視すると差し押さえが実施される可能性も

督促状も無視をして住民税の滞納を続けると、財産を差し押さえられるケースもあります。督促状のあとに最終通告である催告状を送付する自治体もありますが、送付されずに差し押さえが実行される可能性もあるので、督促状が届いた時点での対応が必要です。

差し押さえられる可能性のある財産としては、以下が挙げられます。

__●預貯金
●生命保険などの債権
●不動産
●自動車
●給料__

差し押さえに当たって、滞納をしている本人の勤務先や利用している生命保険会社、携帯電話の通信会社に事前調査が行われます。督促状がいわゆる最終通告として扱われており、差し押さえる際は裁判所への手続きも必要ありません。地方税法第68条でも、滞納者が以下の条件に該当する場合は差し押さえしなければならないとされています。

・滞納者が督促を受け、その督促状を発した日から起算して十日を経過した日までにその督促に係る市町村民税に係る地方団体の徴収金を完納しないとき

税金滞納者への差し押さえは法律にも定められているため、自治体は事前通知なしで行えます。差し押さえの実施後に滞納者へ差し押さえをした旨の通知が送付されるため、身に覚えのない方は必ず督促状が来ていなかったかを確認しましょう。

住民税が払えないときの対処法

経済的な事情で住民税が払えないケースはあります。納税できないときは、無断で滞納するのではなく必ず自治体へ相談しましょう。住民税の納付猶予制度や減免制度を利用できる可能性があります。

納付猶予制度では、住民税納付の一時的な猶予が可能です。減免制度では、住民税の納付自体を免除してもらったり減額してもらったりできます。

どちらの制度も、自治体へ申請が必要です。条件や必要な書類は、担当窓口へ問い合わせておきましょう。

納税が遅れたときは延滞金も発生する

本来の期日よりも遅れて住民税を納付すると、住民税のほかに延滞金を納付する必要があります。例えば、柏市によると、令和4年1月1日より決められている延滞金の割合は以下の通りです。

__●納付期限日の翌日から1ヶ月を経過する日まで:2\.4%
●納付期限日の翌日から1ヶ月を経過した日以後:8.7%__

延滞金は「本来納付すべき税金額×延滞日数×延滞金の割合÷365日」で求められます。例えば、令和6年5月1日が納付期限である1万円の住民税を令和6年6月30日までの2ヶ月(61日)滞納したとして延滞金を計算しましょう。

まず、1ヶ月を経過するまでは2.4%で計算するため、式は「1万円×31日×2.4%÷365日」です。計算すると、1ヶ月目までは約20円の延滞金が発生します。

1ヶ月目を超えた分の計算式は「1万円×30日×8.7%÷365日」となり、延滞金は約71円です。全期間の延滞金を合計すると、約91円を支払う必要があります。納税が遅れれば遅れるほど延滞金も高くなるため、納付できるなら期日内にしましょう。

住民税の督促に封筒の色は関係ない

住民税に関する通知は、内容で判断する必要があります。封筒の色は、自治体によって黄色や赤、紫など目立つ色である点以外に規定はないので、封筒の色で差し押さえられるかなどの判断はしないようにしましょう。

地方税法では、督促状が届いてから10日を超えても税金が納付されなければ、自治体は差し押さえしなければならないとされています。封筒の色で判断をして督促状を見落としていると、知らない間に差し押さえが実施される可能性もあるので、注意が必要です。

もし住民税が払えない場合は、自治体に納付猶予制度や減免制度が利用できないか相談しておきましょう。なお、期日を超えて納税するときは、延滞金の納付も必要です。

出典

デジタル庁 e-Gov法令検索 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第六十八条一
柏市 市税の延滞金と還付加算金の計算方法

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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