山梨県立大学の男子学生が今年4月に茶道部を立ち上げました。
茶道の所作を覚え始めてわずか9か月、なぜ本格的に茶道を始めたのでしょうか?
県立大学国際政策学部4年の山下晟慎さん。今年4月に、表千家茶道部を立ち上げました。
活動は月3回で、この日は他の大学の茶道部の学生や、留学生もお茶会形式の稽古に参加します。
山下晟慎さん: 「甲州市にある恵林寺の老師様が書いた墨蹟(書)。 寿山と書いてあり、ずっと続くという意味。茶道部がずっと続いてほしいというのが創設の思いなので、千古不易の寿山という言葉を書いていただいた」
山下さんは岩手県出身で、県立大学では国際コミュニケーションを学んでいます。 そんな山下さんが茶道を始めたのには、ある思いがありました。
山下晟慎さん: 「大学の学部の特性上、留学したりしたが、そのときに海外の文化を知ったり海外の文化に触れることがあった」
山下晟慎さん: 「逆に日本の文化について聞かれたときに何も説明や紹介ができなかった。日本人としての立ち位置を理解した上で日本の文化を紹介できるのは、これからの社会を生きていく上でメリットになる」
山下さんは去年の5月から、甲州市にある恵林寺の茶の湯教室に参加。
恵林寺の古川住職も山下さんに大きな影響を与えています。
山下晟慎さん: 「古川老師が気さくな方で、いろんな話をしてくれる。相談事で1つ聞くと10だけじゃなく100返ってくる」
山下晟慎さん: 「自分の人生観を変えてくれ、生き方の指標を示してくれた。この出会いを大切にして学びを深めていきたい」
県立大学の和室では、茶道部員も手伝って稽古の準備が進められています。
留学生の参加者も集まってきました。
参加者は、まず一礼して茶室に入ります。これを席入りといいます。
続いて、掛け軸や生けた花を拝見し、おもてなしをする人の意図を汲み取ります。
表千家講師 大村康太郎さん: 「よろしくお願いします」
山下晟慎さん: 「ぜひ楽しんで。めちゃめちゃ美味しいお菓子を準備しているので」
いよいよ山下さんがお茶を立てます。
表千家講師 大村康太郎さん: 「お客さんの前で、もう一度道具を清めていく」
表千家講師 大村康太郎さん: 「きょう火を同じくしたからみんな仲間。山下部長がお茶を点てみんな同じお茶を飲むと仲間になる。これが、お茶のおもしろいところ」
静かなイメージのある茶道ですが、本来は人と人を結びつけるもの。楽しくコミュニケーションしながらお茶を飲むのも茶道の一つの形です。
山下晟慎さん: 「茶道を広めていきたい。他者へ思いやりや他者へのおもてなしの心は重要。お茶会そのものが、お客さんに楽しんでもらうもの。準備に労力を割いたりとか、いろんな知識を蓄えて、お客さんに楽しんでもらうことが魅力」
山下晟慎さん: 「もう一つは、自分自身と向き合うことができる。お茶をすることで自分自身と対話をする機会がたくさんある。これからの社会での生き方、どう生きたいのか、どう生きていくのかというところに、良い意味で影響を与えてくれる」