ジェイテクト、新取締役社長に近藤禎人氏が就任 歴史に基づく多様な技術要素と知見を組み合わせ「“Only One”のソリューションを生み出していく」

by 編集部:北村友里恵

2024年6月26日 実施

新取締役社長に就任した近藤禎人氏が記者に向けてあいさつを行なった

ジェイテクトは6月26日、新しく取締役社長に就任した近藤禎人氏の取材会を開催した。

近藤氏は、1988年にトヨタ自動車に入社してから約35年間、生産技術に関わっており、デフの生産技術や北米での4速ATの立ち上げプロジェクトのほか、2000年代前半からはハイブリッドのトランスアクスルの生産準備、燃料電池に関する生産技術の立ち上げなどに参加。2020年4月からはモノづくり開発センター センター長を務め、ギガキャストやフライングモビリティの開発、モータースポーツにおけるものづくりを支えるなど、社会インフラを含めた包括的なものづくりを行なってきた。

2月2日の取締役会で新たな取締役社長に内定し、6月25日の株主総会、取締役会・監査役会で正式に就任が決定した近藤禎人新取締役社長

自身の経歴を紹介しつつ、ジェイテクトとの関係について「実は、スタートの入社したところからずっとジェイテクトと35年間一緒に仕事をしてまいりました。デフ時代は旧・豊精密、現在のジェイテクトギヤシステムと一緒に設備を開発したり、歯切り盤を開発したりしました。それから、旧・光洋とは、ジャパンタクシーの前のクラウンコンフォートというタクシーのデフの設計をしました。その当時、デフの寿命が非常に短く、特にベアリングが非常に弱かったので、光洋と一緒にSHベアリングを開発しました。ここ20年弱くらいはリチウムイオンの電池設備を一緒にやらせていただいていて、年代ごとに工作機械であったり、生産準備の支援だったり、ゆかりの深いジェイテクトで改めて社長を拝命したということは本当にうれしい限りです。ぜひこういった経験を活かしながらジェイテクトをしっかり経営していきたいと思っております」と、社長就任の思いを語った。

また、「利他の心」「謙虚・感謝」「全員活躍」のキーワードに加え、トヨタの豊田英二氏の作った「時は命なり」という言葉を大切にしていると言い、「社員は自分の命を削って働いていただいているので、その命を無駄にしてはいけない。メンバーの時間をその人のために大切に使う。そういうことをリーダーはしっかり心がけなければいけないということで、私自身も人を中心とした経営をジェイテクトでも引き続きやっていきたいと思います」と経営方針を紹介した。

さらに、「Yes for All, by All」という言葉を紹介し、「これはモノづくりセンターのときに作った言葉なのですが、いわゆるモビリティカンパニーになるためにいろいろなものを作らなきゃいけないときに、これはできる、これはできないと言わないで、みんなでなんでもやろうよ、という思いを込めました。改めてジェイテクトにも通じる部分かと思いますので、この5つの言葉を大切にしてジェイテクトでやっていきたいと考えています」と話した。

近藤新社長の経歴と、5つのキーワード

続けて、ジェイテクトの歩みを振り返りつつ、“次の道を発明しよう”というビジョンのもと、ジェイテクトだからこそできる新たな価値を提案し、未来のモビリティ社会に貢献するため、新しい道を作っていきたいと述べ、「現在のジェイテクトは自動車部品、ベアリング、工作機械などの事業部ごとに要素技術、ノウハウ、技能がございます。これがベースにあってそれぞれの祖業を強くしてきたということですが、一方で祖業を軸にそれぞれの要素技術が1つ1つぶら下がっているという特徴が、今のジェイテクトの課題でもあると考えております。それを背景において私自身がしたいことは、1つ1つをバラバラで使うのではなく、全部を集めて一体化して、どのようにも使えるようなプラットフォームを作る。そんなことを考えております」と、今後の展望について述べた。

ジェイテクトの歩み

その上で、シナジーを最大化して付加価値の高い製品を作ることで収益性を上げるとともに、付加価値の高いものを提供すると同時に、余力を活かしながらモビリティの拡張や、社会システム化といったところにもチャレンジしていきたいと語った。

ジェイテクトの進むべき方向

近藤氏は「祖業があって、コアコンピテンシーが下にぶら下がるかたちではなく、それぞれのコンピテンシーを1個のプラットフォームに入れて、そのテクノロジープラットフォームの中でいろいろな技術を使って既存事業を評価すると同時に、新しい事業を生み出すような、技術を中心にして“Only One”のソリューションを生み出していく会社にしていければと感じています」と、佐藤和弘社長が作った基本理念をベースに継承しつつ、新しい道を開拓していくとした。

ジェイテクトの強みと課題
今後、全てのコンピテンシーを組み合わせ、Only Oneのソリューションを生み出していく

なお、8月には、この基本理念や、基本理念を支えるミッションやビジョンを考えながら、社員一人一人が同じ方向を向いて、自立して活躍でき、生き生きと働ける職場にするための、第2期中期経営計画を発表するとのこと。

最後に近藤氏は「“Yes for All, by All”の“for All”は地球のため、世のため、お客さまのため、“by All”はOne JTEKTであり、全員参加。One JTEKTの中には本社のみならず、ジェイテクトグループ、それから協力会社さんが一体となってですね、みんなで“Yes”することで、本気・対話を通じてお客さまのために貢献できる、そんな会社にしていきたいと考えております。最後になりますが、ジェイテクトの言葉の意味をご存じでしょうか。Jは、Japan、Joy、Jointという意味があります。TEKTはギリシャ語のTektonという卓越した技術を持つ者という意味の略称です。つまり、われわれはジョイントテクノロジー、これからはいろいろなコアコンピテンシーを集めて、そして新たなソリューションを作ってお客さまに喜んでいく会社にしたい。まさにジェイテクトになろうということが私の思いでございます」と語り、締めくくった。

ジェイテクトのこれからについて

© 株式会社インプレス