人気マンガ『頭文字D』&木村拓哉『Believe』にも登場 「碓氷峠」でのラリー選手権! 見やすい「廃線跡」から観戦

碓氷峠を舞台に争われた「2024全日本ラリー選手権第5戦」(撮影:BRAVO MOUNTAIN編集部)

いまは廃線となった信越本線の旧横川ー軽井沢間を歩き、その時代をリアル体験できるとして最近人気を集めているのが、群馬県安中市の「廃線ウォーク」です。

区間内には奇跡的に当時の姿をとどめる鉄道遺構が多く残り、“日本で初めて”や“ここだけ”にしかない文化財の宝庫。そんな「鉄道の聖地」ともいえる「碓氷峠」で、6月8日と9日に、これまた全国初となる、国道を使用してのラリーレースが催されました。

6月20日放送 木村拓哉主演ドラマ『Believe』にも登場した碓氷第三橋梁・通称「めがね橋」

開催に合わせ現地では観戦エリアの整備に加えて、「廃線ウォーク」でしか入れない場所からレース観戦できるバスツアーなども敢行され、好評を博しました。

廃線跡からは、至近距離でレース観戦が可能!(提供:安中市観光機構)

■廃線ウォークとは

明治中期に関東圏の交通において最大ともいえる難所の碓氷峠を、数々のトンネルや架橋でつないで開通させたのが横川ー軽井沢間の旧国鉄碓氷線です。それまでは中山道を使って峠を越えてゆくことができました。ただそれは大変な道のりで、「いまでいう登山のような行程だったのではないか?」と、碓氷線インストラクターの加藤正夫さんから、レース前のイントロダクションで解説がありました。

険しくも、当時の産業発展にとっては鉄道の開通が切望された、重要な場所であったことが窺えます。

碓氷線の区間内は国の文化財指定を受け、日ごろは立ち入り禁止ですが、イベント「廃線ウォーク」では廃線を歩くことができます。

イベントがスタートした2018年以降、参加者は増え続けています。今年から始まったナイトウォーク「MELODIC LIGHT WALK」もゴールデンウィーク中は連日定員いっぱいとなる人気ぶり。いまや鉄道ファンのみならず、自然の中で非日常を味わえる空間として目が離せない、アウトドアスポットのひとつなのです。

■2024全日本ラリー選手権第5戦「加勢裕二杯 MONTRE 2024」Old Usui Touge

日本各地を会場にして合計8戦で争われる「全日本ラリー選手権」。1980年代から2000年代はじめまで舞台となってきた赤城山、榛名山、妙義山の“上毛三山”にちなみ、群馬県で開催されるレースはフランス語で3つの山に由来する「MONTRE(モントレー)」の呼び名で定着しています。

今回は安中市の「安中しんくみスポーツセンター」にサービスパークが、碓氷峠を走行するSS(スペシャルステージ)「Old Usui Touge 1・2」(SS3とSS4)には観戦エリアが設けられました。人気漫画『頭文字D』でもお馴染みの国道18号旧道。やまびこする轟音とともに駆け抜けていくラリーカーは迫力満点! 今後はラウンドを北海道へ移し、10月の岐阜開催まで大会が続きます。

廃線跡から。少し高い位置からは遠くまで見通せて、ちょっとしたサーキット感あり!

通常は横川ー軽井沢間を「上り」または「下り」で歩く廃線ウォークですが、レース開催に合わせ3つの特別編が用意されました。碓氷線の終点である軽井沢からと、中継点の熊ノ平からそれぞれの観戦スポットまで行けるもの、それから横川駅からのバスツアーです。

特にバスツアーは長野県側から実際にレースが行われるコースを下り、前半はオンライン配信用の実況ブースを構えた熊ノ平駐車場から、後半は廃線跡から観戦できるというスペシャルな内容でした。ランチには名物「峠の釜めし」が支給され、観戦後には天然温泉、帰りは安中榛名駅までの送りが付く1日ツアーです。

国道を下って熊ノ平駐車場へ向かうバスツアー。これからこのコースを使ってレースが行われるかと想像すると、ワクワクする

前出の碓氷線インストラクター加藤正夫さんによれば、線路の敷設に先駆けて開拓された馬車道が国道18号旧道のもとになっている、とのこと。つまりは工事がしやすいよう国道と鉄道が並行して近づく場所が、あちこちにあるということで、廃線跡は観戦スポットとしてまさに最適地。参加したファンの皆さんは時おりポジションを変えながら、思いのままにカメラを構え、それはご満悦の表情でした。

盛況のうちに幕を閉じた、2年ぶりの「モントレー」。来年も碓氷峠が舞台となるかどうかは未定ですが、疾走するラリーカーの熱い走りを見るのも、ハイキングなどとはまた違った山の楽しみ方かもしれません!

© 株式会社双葉社