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岡山大の長谷井嬢准教授(整形外科)らの研究チームは、AI(人工知能)を用いて入院患者らの心理的ケアを行う「メンタルケアサポートシステム」を開発した。通信アプリLINE(ライン)を使って対話する仕組みで、医療者による対面支援と併用してよりきめ細やかなケアにつなげる。今月、岡山大病院(岡山市北区鹿田町)に導入したほか、九州大病院(福岡市)、東北大病院(仙台市)など全国4病院の一部診療科でも利用されている。
システムでは患者らが自身のスマートフォンやタブレットを使い、時間を問わずやりとりできる。「相談相手」は、主に小中学生用として友だちのように会話ができる「心(こころ)さん」、高校生以上を対象に丁寧な言葉遣いで幅広い相談が可能な「葵(あおい)さん」を用意。共感が中心で、治療内容など専門的なことは答えない。
例えば「夜は不安で眠れない」と訴えると、両者とも「つらいね」などと共感する。その後に心さんは「何かリラックスできることをしてみるのはどうかな」と音楽を聴いたり、本を読んだりすることを提案。葵さんは「特に不安に感じることがあるのでしょうか」と質問する。実際に使用した患者からは「人には言えないけど、AIには言えたことがある」といった感想が寄せられているという。
医療従事者によるテスト運用では不適切な回答はなく、性的な表現や暴力的なメッセージを受けても避けて会話することができていた。命の危険があるような発言があった場合は、病院スタッフへの相談を促し、「私はここにいます」と孤独感を和らげる言葉を送った。
長谷井准教授らは、入院中の夜や休日には出勤している医療者が限られるため「話したいことや聞いてほしいことを一人で抱え込む状況が少なくないのではないか」と考えて開発に着手。「メッセージに『既読』とつくだけでも『受け止めてもらえた』という安心感が得られると聞く。患者の不安や孤独感の軽減につなげ、治療への前向きな気持ちを引き出してくれると期待している」としている。
当面は利用無料で、入院患者に限定する。主治医が許可すれば使用できる。
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