女性死亡のクマ被害から一夜 酸ケ湯キャンプ場が営業中止 青森・八甲田 周辺施設は警戒、注意喚起

相次ぐクマ被害により、当面の営業中止を決めた酸ケ湯キャンプ場=26日、青森市荒川
「臨時閉園中」と掲げられた東北大学植物園八甲田山分園=26日、青森市荒川
クマによる人身被害へ注意を呼びかける張り紙=26日、青森市の酸ケ湯温泉

 青森市荒川の八甲田山系の地獄沼周辺でタケノコ採りの80代女性が死亡したクマ被害から一夜明けた26日、周辺施設では酸ケ湯キャンプ場が営業中止を決めるなど、スタッフらが対応に追われた。

 同日朝、現場近くの酸ケ湯周辺は濃霧に包まれ、登山客の姿はほとんど見られなかった。雨も降る中、パトカーが周辺を警戒。悪天候もあってか、登山客用の駐車場には車がほとんどいなかった。

 酸ケ湯キャンプ場を設置する環境省十和田八幡平国立公園管理事務所が同日、周辺で相次ぐクマ被害により営業中止を決めた。クマの影響で同所を閉鎖するのは初めて。管理する酸ケ湯温泉によると、キャンプ場は25日の現場から約2キロ。クマの移動距離を考え、屋外活動するのは危険と判断、無期限の営業中止とした。

 26日は同温泉ガイド課のスタッフらが、ホームページの更新や予約のキャンセルなどの作業に追われた。同課の船場信昭さんは「夏休みの予約なども全ていったんキャンセル。人を襲うかもしれないクマがまだいるので、利用者の安全確保ができるまではしょうがない」と話した。

 地獄沼近くで散策が楽しめる東北大学植物園も既に「臨時閉園中」の掲示とロープが張られていた。八甲田ホテルや酸ケ湯温泉では、宿泊客に周辺の散策や登山を控えるよう注意喚起しているという。兵庫県から観光で来ていた70代夫婦は「沼の周りをゆっくり散策したかったが、クマが怖いので車で行ってみます」と残念そうに話した。

 青森署によると、クマの被害を受け、25日は現場周辺の計3カ所に規制線を張ったほか、26日午前5時ごろからは現場周辺の入山者に入山しないよう呼びかけた。事故以降、現場周辺ではクマの目撃情報はないという。

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