FC東京FWが有言実行「存在価値」を証明した決勝弾 真っ先にゴール裏のサポーターの下へ

安斎颯馬が札幌戦で決勝ゴール【写真:徳原隆元】

安斎颯馬が決勝弾「ミートすることだけを意識」

有言実行のゴールだった。FC東京は6月26日に行われたJ1リーグ第20節の北海道コンサドーレ札幌戦に1-0で勝利し、シーズン後半戦の初戦を白星で飾った。この試合で決勝ゴールを決めたのは、第18節のジュビロ磐田戦(1-1)で今季初ゴールを決めたばかりのFW安斎颯馬だった。

試合終盤の後半39分、右ウイングで先発していた安斎は左ウイングにポジションを移していた。右サイドでボールを動かすなかで、DFの背後をとって視野から消えた安斎はMF原川力のクロスに合わせてゴール前へ飛び出した。DFと競り合いながらも懸命に伸ばした足でシュート。「自分でもボールに触れるかという感じだったのでミートすることだけを意識していました」というシュートはクロスバーの下を叩いてゴールに決まった。

磐田戦で今季初ゴールを挙げた後、「次は勝ち点3につながるゴールを決めたい」と話していた安斎は、「原川選手から良いボールが来ましたし、自分自身もこの味スタで勝利を収めたかったので気持ちで押し込んだゴールだったなと思います」と、笑顔を見せた。

ゴールを決めた後、真っ先にゴール裏のサポーターの下へ駆け寄った。「サポーターの方々は、前半戦は(味スタで)1勝で、苦しい思いをしながらもずっと声をかけ続けてきてくれました。自分自身、そういった思いにも応えたかった気持ちが強かったのであのゴールをサポーターと分かち合えたのは、個人的にも嬉しかったです」と、その時の思いを口にした。

両サイドのウイングだけでなく、サイドバックでもプレーするなど、安斎はチームのために身を粉にしてきた選手だ。ハードワーカーとして高く評価されているが、チームが苦しい状況のなかでゴールを挙げなければいけないという思いをつのらせていたという。

「ゴールデンウィークはチームとしても3連勝したり、勢いがあったのですが、5月、6月と勝てない時期が続いて、点を取っていた(松木)玖生、タロウ(荒木遼太郎)、ディエゴ(・オリヴェイラ)、テルくん(仲川輝人)だったりが対策されてきた時に、なかなかゴールが遠かった。自分らウイングがもっともっと数字を取らないと勝利につながらないと思ったので、そこら辺から自分たちが、前線の選手である以上は結果を残さないといけないと意識しました」と話す。

ここ3試合で2ゴールを挙げたことについて「新しい景色も見えていますが、ハードワークすることだったり、見えないところでチームのために戦うといったことは変わらないと思いますし、そこがなくなったら自分の存在価値はないと思うので、それをベースにしつつ、チームを勝たせるプレーが増えてきたらいい」と、最も求められているプレーは継続していく考えを示した。

今シーズン、自身のゴールで初めて勝ち点3をもたらしたことについて、「本当にチームのために戦いたい、今度は自分がチームを勝たせるという思いを持っていました。時間はかかりましたけど、ようやく1つ形になったのは大きい。ただ、まだまだこれからだと思いますし、前線の選手としてはまだまだ数字も物足りないので、自分もチームも結果を残せるようにもっともっと頑張りたい」と、さらなる活躍を誓った。(河合 拓 / Taku Kawai)

© 株式会社Creative2