【W杯最終予選|識者推奨のメンバー26人】「伊東純也は復帰するはず」。3バックの場合、三笘をシャドーで起用すべき理由とは?

2024年9月から北中米ワールドカップのアジア最終予選を戦う森保ジャパン。本大会出場に向けてどの26人で臨むべきか、識者の河治良幸氏に訊いてみた。

河治氏がまず、4-2-3-1システムをベースに選んだ26人が以下の通りだ。GKは鈴木彩艶、大迫敬介、小久保玲央ブライアン。DFは菅原由勢、毎熊晟矢、板倉滉、藤井陽也、冨安健洋、町田浩樹、伊藤洋輝で、ボランチは遠藤航、鎌田大地、藤田譲瑠チマ、守田英正、田中碧、川村拓夢。そして2列目が伊東純也、堂安律、久保建英、南野拓実、三笘薫、中村敬斗、前田大然、CFは上田綺世、小川航基、細谷真大だった。

GK3名の選出理由は「今後の伸びしろを考えて、ワールドカップ本大会でベスト8以上を狙えるタレント」ということだった。パリ五輪での活躍次第でどうなるか見えない部分はあるが、もちろん、6月の連戦に招集された谷晃生や前川黛也、さらに実績のあるシュミット・ダニエルや中村航輔らも候補者だ。河治氏は言う。

「キーパーの争いはハイレベルになってきて、候補者も多くなっています。その中でここからグッと伸びてきそうな選手は誰かと考えた場合、鈴木選手、小久保選手、大迫選手の3人という結論に行き着きました」

DFを選ぶうえで河治氏が重視したのは「1対1の強さ」だ。「攻撃面でセンスのある選手は他にもいますが、まず1対1で守備ができる部分が森保ジャパンでキーファクターになっています。そこを考慮しての7名です」

今や代表の常連となった谷口彰悟を外し、なぜ代表キャップ1の藤井をセレクトしたのか。

「藤井選手の1対1の強さ、機動力、さらにボールを運ぶ勇敢さが、森保(一)監督が目指しているところに到達するための要素になります。アジアの強力なFWに1対1で負けない。カバーリングが必要ない選手が理想です。谷口選手も跳ね返す力はもちろんありますが、今回は藤井選手を入れました」

4バックでは左サイドバックが伊藤のみとバランスが悪いが、これは「3バックも見据えての人選」である。

「最終予選では4バックと3バックが半々くらいの頻度で使われると考えています」との想定で選んだ7人と強調しておく。

ボランチに6枚もいるのかと疑問を抱く方もいるだろう。ただ、これも3-4-2-1システムとの併用を考えてのこと。例えば鎌田はボランチに限らず、トップ下、シャドーにも対応できる。ひとつのシステムに26人を当てはめるのは現実味に乏しく、複数のシステム採用を踏まえてのチョイスだという点を改めて伝えておく。実際、河治氏は「鎌田選手は6番(ボランチ)、8番(攻撃的MF)、10番(ここではトップ下)になれる位置付けです」と話している。

ボランチで触れておきたい選手が、パリ五輪世代の藤田。今回選んだ理由を河治氏は「U-23アジアカップでは絶対的なキャプテンで、その選手がパリ五輪後にA代表に入ってこないのはあまりにも寂しい」としている。

2列目は「正直、動かしにくい」(河治氏)。

「南野選手もスランプのトンネルを抜け、堂安選手もフライブルクで実力を伸ばしています。三笘選手と伊東選手は最終予選で復帰するはずで、中村選手は6月シリーズのMVPですから。それに加えて、久保選手。この6枚は誰が選んでもこうなるのかなと」

その6人に加えて河治氏が選出したのは前田だ。

「スピードに加え、左右のウイング、さらにトップ(CF)をこなす利便性があります。3バックの場合は、左ウイングバック、シャドーもできると思います」

ただ、左サイドに関しては「相馬(勇紀)選手、旗手(玲央)選手もいる」と河治氏はフォロー。とにかく2列目には才能豊かな選手が揃っている。

1トップは「上田選手か小川選手のどちらかが絶対的なエースになってほしい」とエールをおくった河治氏は、3人目としてパリ五輪世代の細谷を入れている。

「センターフォワードの3人目は3-4-2-1システムでシャドーにも対応可能なタレント。推進力があって、上田選手と小川選手とはまた違ったタイプ、上下動ができる細谷選手がいいのかなと。裏に抜け出すスピードは上田選手や小川選手よりも優れていると思うので、こうした人選にしました」

この26人を3-4-2-1システムに振り分けると、4-2-3-1のケースよりもバランスよく配置できる。ちなみに、GK3人以外の23名をポジション別にすれば次のようになる。

3バックは菅原、板倉、藤井、冨安、町田、伊藤。ボランチは遠藤、藤田、守田、田中、川村。右ウイングバックが伊東、堂安、毎熊で、左ウイングバックが中村と前田だ。2シャドーは鎌田、久保、南野、三笘で、CFは4バックの時と変わらず上田、小川、細谷となる。

この3バックは「守備的なものではない」と河治氏は言う。

「ドイツとの親善試合のように途中からブロックを作って守るような陣形ではなく、あくまで攻めに行く3バックシステムにしています」

ポイントのひとつは、カタール・ワールドカップでは左ウイングバックで起用された三笘をシャドーに配置した点だ。その理由は以下の通りである。

「彼の突破力を(ウイングバック)より生かせるポジション。三笘選手は守備もできますが、前目のポジションで仕事をしてもらったほうがいい。彼をシャドーで使っても、左ウイングバックをこなせる選手はいますし、攻撃にほぼ専念させたほうがいいです」

堂安を右ウイングバックにしたのは「攻めに行く3バック」だから。もちろんシャドーにも対応可能だが、ポジションに関係なく彼に期待したいのはオフェンシブな仕事だろう。

あくまで対アジアを考えた時の推奨26人だ。ワールドカップ本大会になれば当然ながら考え方は変わってくる。

構成●サッカーダイジェストTV編集部

© 日本スポーツ企画出版社