戸田建設/鉄骨工事自動化技術を実証施工、省力化と安全性向上確認

戸田建設は、東京都中央区で建設中の新本社ビル「TODA BUILDING」の現場で「鉄骨工事自動化技術」を適用した。これまで開発導入してきた技術と、タワークレーンの遠隔操作システムなど新しい技術を連携させる。一連の鉄骨工事で各技術を適用し機能性を検証。鉄骨工事の省力化と安全性の向上に幅広く有効であることを確認した。
今回の実証施工では、同社が開発し導入実績がある「タワークレーン3次元自動誘導システム」「吊荷旋回制御装置」「仮ボルト不要接合工法」「鉄骨柱の自動計測・建入れ調整システム」に、新たに開発した▽タワークレーン遠隔操作システム▽AR(拡張現実)マーカーによる測位技術▽ガチャントピンガイド-の三つを連携させた。
実証施工では、タワークレーンを自動かつ遠隔で運転し、揚重(ようじゅう)作業の安全性の向上を図った。吊荷旋回制御装置で鉄骨部材の方向と姿勢を制御することで、揚重作業の作業性と安全性を向上させた。タワークレーンでつり上げた鉄骨部材の現在位置と、部材の取り付け予定位置との誤差を計測する際にはARマーカーを活用。鉄骨梁の位置合わせ作業を省略することで、作業効率の向上を図った。
ガチャントピンガイドは、仮ボルト不要接合工法で鉄骨梁を仮固定する際に仮ボルト不要接合治具(ガチャントピン)の接合ピンを所定の位置まで誘導する。仮固定することで、鉄骨梁取り付け作業を省力化し作業時間を短縮した。鉄骨柱の自動計測・建入れ調整システムにより、鉄骨柱の建て入れ調整作業を自動で行い、誤差3ミリ以内の高い精度で施工した。
同社は今後、プレキャスト(PCa)工事への適用拡大も視野に入れ、建設工事での自動化施工をさらに推進する。さらにタワークレーン遠隔操作システムは、オペレーターの育成用シミュレーターとしての利用や、オフサイトに設けたオペレーションセンターから遠隔地のタワークレーンを一元的に操作するなど育成と労働環境の向上を目指していく。

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