「タイプA」パビリオン・ポーランド ようやく着工へ 政府関係者、安堵も「課題多く」大阪・関西万博

大阪・関西万博 ポーランドパビリオンの完成イメージパースと、ラジオ関西の取材に応じるエリザ・シヴァク ポーランド政府副代表

大阪・関西万博に参加する161の国・地域を対象にした「国際参加者会議(IPM / International Planning Meeting)」が、奈良コンベンションセンター(奈良市)で26日までの2日間開かれた。

【画像】ポーランド ようやく着工へ「タイプA」パビリオン~大阪・関西万博

大阪・関西万博をめぐっては、海外パビリオンの着工、建設の遅れが懸念されている。「タイプA」という独自パビリオンを希望するのは51か国。このうち32か国が着工済み。しかし11か国で建設業者が決まっておらず、8か国が未着工(6月25日現在)。

「タイプA」を希望するポーランドは、6月18日にパビリオン建設契約の締結にこぎつけた。

同国政府のエリザ・シヴァク副代表は25日、ラジオ関西の取材に対し「ひとまず」安堵の表情を見せ、「とても不安だった。本当に大きなストレスになっていたので、(建設契約という)ひとつのハードルを乗り越えることができたことは大きい。当然、開幕には間に合う」と微笑んだ。

ポーランドパビリオンは、木材を使用した“らせん状”の形状が特徴。複雑な構造で、建設には一定の期間が必要だ。パビリオンの個性を重んじたうえで建設会社の選定に努めていたが、難航していた。デザインの大幅な変更など、計画の見直しを迫られる可能性もあった。しかし、撤退という選択肢はなかった。

エリザ副代表は昨年(2023年)11月、大阪で開かれた国際参加者会議でのインタビューで、「デザイナーもプライドを持って、万博という大舞台での表現に力を注いでいる。建築資材や人件費の高騰を考えると、デザインの見直しやコストダウン、さらにデザイナーとの契約条件にも影響する」と苦しい胸の内を明かしていたが、すべての条件が受け入れられ、ポーランドオリジナルのデザインを保つことができるという。

そして、「日本に滞在するパビリオンスタッフのビザや雇用契約、(万博会場内の)キャッシュレス化による工夫など、これから急ピッチで準備を進める」と、当面の課題を挙げた。参加各国にとって、パビリオン完成がゴールではなく、運営面でさまざまな“宿題”が待っている。

そして、3月に建設現場で起きたメタンガスが原因とされる爆発事故について、万博を運営する日本国際博覧会協会から改めて説明を受けたシヴァク副代表は、「人工島での開催ということもあり、平地と比べて危険性が高いと思うが、ガス濃度のチェック体制などの対応を聞き、日本の安全対策の厳密さを信じたい」と話した。

© 株式会社ラジオ関西