「読むんじゃなかった」!? 令和の女子大生が初めて『ドラゴンボール』を読んでみた驚きの感想を紹介

『DRAGON BALL』#1(ポニーキャニオン)

筆者には昔から後悔していることがある。それは結婚したときに“置き場所がないから”といって、鳥山明さんの『ドラゴンボール』を処分してしまったことだ。しかしそれから20数年あまり経ち、このたび『ドラゴンボール 完全版』を大人買いしてみた。それを後押ししてくれたのは、今年20歳になる大学生の娘である。

令和世代である娘、普段はスマホに夢中で漫画にまったく興味がない。しかし今回、娘の口から初めて「ドラゴンボールを一度読んでみたい」という要望があったのだ。

これはもう買うしかない!ということで、我が家に来た『ドラゴンボール 完全版』。生まれて初めて読む『ドラゴンボール』を19歳の娘はどう思ったのだろう。さっそく序盤を読んだ感想などを聞いてみた。

■初読みの感想は「絵が可愛い」「14歳には見えない」

さっそくワクワクと『ドラゴンボール』1巻を読み始めた娘。ページを開いた感想は「絵が可愛い!」と一言。確かに鳥山さんの高い画力は男女問わず人気があり、少年漫画とはいえ女子も好みそうな可愛らしいビジュアルが特徴だ。

さらに悟空とブルマが出会った際に、悟空が自分は14歳だというシーンがある(のちに12歳であることが判明)。そこでも「昔の登場人物はずいぶん子どもっぽいんだねえ」と一言。いや、昔の漫画というより、悟空ならではの特徴とも言えるが……。

しかし、読み進めるうちに娘の顔が少々険しくなる。どうしたのかと尋ねると「想像していた内容と違う」「結構字が多くて読むのに時間がかかる」との意見が。

娘曰く「ドラゴンボールは戦隊もので変身する内容だと思っていた」とのこと。確かに街で見かけるドラゴンボールといえば、スーパーサイヤ人の悟空がカッコよく戦っているビジュアルが多い。でも序盤はギャグ漫画の要素が強く、戦闘シーンは少ないことで困惑したようだ。

さらに険しい顔になったのが、「ぱふぱふ」などのちょっとエッチなギャグが出たとき。「ちょっと考えられない、下品じゃない?」との意見が。なるほど……昭和ではゲーム『ドラゴンクエスト』シリーズにも登場するほどの伝説のギャグなのだが……令和っ子にとってはやや刺激が強すぎるのかもしれない。これも受けてきた教育や文化の違いなんだろうと、妙に感心してしまった。

■えッそのキャラ!? 注目したのはかなり意外なキャラクター

娘が1巻を読み進めるなか、「え、そのキャラに注目する!?」と驚いたシーンがある。それが「其之三 悟空・海へ走る」に登場する「ペンギン村じゃないぞ」と言う木にのぼっている鳥山明先生の自画像キャラだ。

「このキャラは重要人物なの?」と訪ねてきた娘。これは『ブラック・ジャック』でいう“ヒョウタンツギ”のような存在であり、場を和ませるようなキャラだ。しかし普段漫画を読まない娘にとっては、突如登場した知らないキャラに驚いたようである。

このようにドラゴンボール序盤の世界観に少々戸惑いを見せていた娘だが、亀仙人が登場してきたあたりから夢中で読み始めるようになった。

とくに初めてドラゴンボールが集まり、ピラフ一味によって世界が征服されそうになったとき、ウーロンが叫んだ「ギャルのパンティおくれーっ!!!!!」には驚いていた。「立派なドラゴン(神龍)が登場したのに、まさかギャルのパンティが出てくるなんて凄いわ……」と作者のアイデアと展開に驚いていた。それまでブツブツ呟きながら読み進めていた娘だったが、このあたりから無言になっていった。

■3巻でまさかの「読むんじゃなかった」!?

3巻ではいよいよ「天下一武道会」が始まり、徐々に本格的なバトルが展開されるようになる。「おお……」というため息とともに3巻を読み終えた娘は頭を抱え「読むんじゃなかった」と呟いた。

えっ、まさかつまらなかった?と、慌てた筆者だが、その意味は真逆であった。「面白過ぎる。もう駄目じゃんこれ、明日早いのに気になって寝れないじゃん!」と。

ちなみに完全版3巻の最終ページは、天下一武道会で悟空とナムが戦うシーンだ。悟空が回転技で倒れた最中にナムが空中へ飛び上がり「南無阿弥陀仏!!!!」といって悟空へ飛びかかっていく……そのシーンで「つづく!」とある。これは気になって仕方ないだろう……。

娘曰く「ドラゴンボールの影響で昔、少年ジャンプが社会現象になったと聞いたけど、その理由が分かる。昔はこの続きを1週間も待たなきゃダメだったんでしょ。それはつらい、気になってジャンプ買っちゃうよね!」とのこと。そう、当時の『ジャンプ』は、もはや生活の一部になっていたのだ。

結局深夜にもかかわらず、まんまと4巻を手に取った娘。その頃にはすっかりクリリンという推しもでき、まんまと“ドラゴンボール沼”にハマっていくのであった。

筆者の人生のバイブルでもある『ドラゴンボール』。この名作を普段漫画に興味がない娘が夢中になって読んでくれたのが嬉しかった。

筆者は脳内再生できるほど『ドラゴンボール』を読み込んだものだが、娘はこれから訪れる数々の激アツ展開を人生で初めて読むのだ。そう思うと心底羨ましい……。

今やすっかり『ドラゴンボール』を読む習慣がついた娘。今はまだ序盤を楽しんでいるが、ベジータやフリーザとの戦いではどのような感想を持つのかが楽しみだ。

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