エンヤ!「白壁倉庫ば曳くばい」 唐津の宮島醤油、建物ごと20メートル移動 6月30日に実施、イベント参加者募集

宮島醤油の本社工場にある白壁倉庫。市道を挟んで、新しい基礎(右側)まで曳家で移設する=唐津市船宮町

 唐津市船宮町の「宮島醤油」(宮島治社長)の本社工場にある白壁倉庫が、建物ごと移動する「曳家(ひきや)」で移設される。倉庫を持ち上げ、道路を挟んで約20メートルの距離を人の力で動かす。道路は唐津くんちの曳山(やま)の巡行路で、同社は30日に「白壁倉庫ば曳(ひ)くばい!」と題し、曳山のように倉庫を曳くイベントを実施。参加者を募っている。

 13番曳山「鯱(しゃち)」の水主(かこ)町が同社の創業の地で、同町とは関わりが深い。同町の曳き子による曳山囃子(ばやし)の中、「エンヤ、エンヤ」のかけ声で倉庫につないだロープを引っ張る。

 本社工場は南北に建物が配置され、その中を東西に2本の市道が走っている。倉庫(延べ床面積約295平方メートル)は1930(昭和5)年築で、市道に面した側面に「宮島醤油」と大きな文字で書かれ、同社のシンボル的な建物になっている。移設によって、町の景観を維持しながら、倉庫の隣接地に昨夏完成したしょうゆ製成工場へのトラックの出入りをしやすくする。

 倉庫は現在、建物と基礎を切り離してジャッキアップを行い、建物下にはレールが敷いてある。移設先には新たな基礎が築かれていて、当日までにレールを延ばす。施工する「家ひきの中島建設」(武雄市)の中島浩社長(59)は「生活で使われている道路を横断する曳家は珍しい」といい、「小学3年の時に工場見学に来て、この建物は覚えている」と仕事で関わる喜びと責任を感じている。

 イベントは午前10時~午後1時で、曳家は午前10時半、同11時半、午後0時半の3回(各50人)に分けて実施。小学校高学年以上が対象で、午前9時40分から先着順に整理券を配布する。宮島醤油経営企画室の門司英子係長(43)は「曳家はめったに見られない。地域の方に楽しんでもらえれば」と話している。

 小雨決行。荒天が予想される場合は、28日に同社ウェブサイトでイベントの中止を案内する。イベント中止の場合でも数日のうちに曳家を行う。(宮﨑勝)

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