めいちゃんの活動休止に寄せて 仲間との活動、シーンへの貢献……歌い手として駆け抜けた13年

めいちゃんが、2024年6月に開催した自身最大規模のアリーナツアー『太陽のマーチ』をもって活動休止した。歌い手として活動を開始してから約13年、歌ってみた動画はもちろん、オリジナル曲でもその実力を発揮したりと、破竹の勢いで勢力図を拡大し続けためいちゃん。また、YouTuberグループ・肉チョモランマやユニット・あらなるめいといった同業アーティストとのコラボも盛んであり、日を追うごとに多方面で彼の名前を聞くようになった。我々の前では快活な姿を見せ続けていたこともあり、活動休止の報告には多くのめいふぁみ(ファンの呼称)が意表を突かれたことだろう。本稿では、そんなめいちゃんの活動や功績を改めて振り返る。

■“変幻自在の歌声”を持つ歌い手 めいちゃん

めいちゃんは、2011年よりニコニコ動画にて活動を開始した歌い手。クセがなく聴きやすい歌声が特徴であり、ロック、バラードなど、どんなテイストの楽曲でも器用に、かつ正確に歌い上げる。まさに“変幻自在の歌声”と言っていいだろう。その歌唱センスは名だたるアーティストから高い評価を得ており、川谷絵音や北川悠仁(ゆず)、FAKE TYPE.らによる楽曲提供を受けるまでに至る。中でもHoneyWorks提供の「小悪魔だってかまわない!」はライブでも大盛り上がりのナンバーであり、YouTubeに投稿されたMVは3500万回再生を突破している。

これまでにリリースしたアルバムは『めいちゃんの頭の中はだいたいこんな感じです』(2017年3月)、『大迷惑』(2020年3月)、『Humor』(2022年8月)の3作で、中には「ヴィクター」や「世迷言」など、めいちゃん自身が作詞作曲を手がける楽曲も収録されており、作詞家/作曲家としての才能にも目を見張るものがある。

また、彼のライブ遍歴も目覚ましく、2016年に初となるワンマンライブ『めいちゃんの夏休み』を開催し、2022年には満員の日本武道館でのワンマンライブ『幕明け』、その翌年には幕張メッセイベントホール公演を含むツアー『へなちょこフォレスト』を成功に収めた。今回のツアー『太陽のマーチ』では、関西屈指のアリーナ 大阪城ホールや、3万人強を動員するさいたまスーパーアリーナのステージに到達。各2日間計4公演が行われた本ツアーは、初日はゲストを招いたフェス公演、2日目は単独公演として開催するなど、歌い手、アーティストとしてのキャリアを着実に積み上げている。

そして言わずもがな、生歌の実力も十分。ライブでは伸びやかなハイトーンボイスや色気をまとった低音を駆使して表現力に磨きをかけ、オーディエンスを熱狂させる。アリーナツアー『太陽のマーチ』の単独公演では、これまで発表したオリジナル曲のサビをメドレー形式で披露していたが、振り返ると彼がこれまで披露してきた楽曲の多彩さに圧倒される。

■盟友とのグループ結成、スタジオ設立も話題に

冒頭にもある通り、めいちゃんは歌い手を始めとしたアーティストとのコラボも印象的だ。彼が憧れの存在として慕う歌い手 GeroとともにYouTuberグループ・肉チョモランマとして様々な企画に挑戦したり、親交の深い歌い手 あらきとラッパー nqrseと3人でユニット・あらなるめいを結成し、コラボ楽曲の投稿や配信を行ってきた。両グループともに人気を博しており、肉チョモランマでは、グループ名義でのイベントをぴあアリーナMMで開催し、あらなるめいでも幕張メッセでイベントを2日間にわたり開催している。

また、めいちゃんは“ハチャメチャ”をテーマにしたレコーディングスタジオ「HACHAMECHA STUDIO」を独自に設立したことでも話題となった。告知動画(※1)では、若手歌い手やネットシンガーが抱える録音環境や機材への悩みを解決するべく準備を進めていたと語っている。彼自身、レジェンドと称される歌い手や仲間の背中を見てここまで歩みを進めてきたからこそ、若手が抱える悩みを人一倍理解しているのだろう。2024年6月時点で、歌い手のピコや吉沢ぽわ、Vsingerの帝斗が実際に当スタジオでレコーディングを行っている。

6月16日のさいたまスーパーアリーナ公演で大団円を迎え、活動休止とはなるが、7月17日には自身のパーソナルな部分を詰め込んだというアルバム『やきそばパン』のリリースを控えている。また、楽曲「シャッターチャンス」で7月より放送されるアニメ『2.5次元の誘惑』(TOKYO MXほか)のオープニングテーマを担当するなど、彼の歌声はまだまだ多くの人へ届いていく。筆者は活動休止前の最終公演に参加したが、そのなかでめいちゃんは「必ず戻ってくる」と、観客に向けて決意の言葉を強く叫んでいた。彼は東京ドームでライブを開催することを目標に掲げており、大舞台のステージに立つまで、めいちゃんの物語は終わらないだろう。なにより、気分屋なめいちゃんのことだ、突然我々の前に姿を現すかもしれない。

“太陽は沈むが、また昇る。”――彼がまた「めいちゃん」として日の出を迎えるその日を、心待ちにしたい。

※1:https://youtu.be/zzEf09EJaaA?si=eAkC42V_Tl1CohJd

(文=コバヤシタイキ)

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