全国の「結婚式場」112社 業績が急回復 増収企業が7割弱、利益はコロナ前を上回る

~ 全国112社「結婚式場業」業績調査 ~

コロナ禍で大打撃を受けた結婚式場運営会社(以下、結婚式場)の業績が急回復していることがわかった。全国の結婚式場112社の2023年の売上高合計は3,477億600万円(前期比13.2%増)で、2年連続で大幅に伸ばした。利益合計も149億3,200万円(同56.6%増)で、コロナ前の2019年を上回った。 
結婚式場の業績は、黒字転換した前期に続き回復が鮮明で、売上高はコロナ前の9割弱、利益は赤字企業が31%に減少し、好調を裏付けた。

厚生労働省の「令和5年(2023)人口動態計月報年計(概数)」によると、2023年の婚姻件数は47万4,717組(前年比6.0%減)だった。2022年はコロナ禍の婚礼自粛などの反動で3年ぶりに増加に転じたが、長期的には減少傾向が続いている。

結婚式場は固定客やリピーター客が見込めない業態で、新規客獲得への戦略が重要になる。少子化や晩婚化、コロナ禍を契機にした地味婚などでマーケットが縮小し、多様なプランやプロモーション戦略の工夫で各社とも生き残りをかけた競争が続いている。
一方で、結婚支援マッチング事業に着手する自治体の出現など、新たな取り組みも活性化している。縮小する市場で、ビジネスチャンスをどう取り込み業容拡大に繋げるか。各社の経営戦略が試されている。

※本調査は、東京商工リサーチの企業データベース(約400万社)から、日本産業分類(小分類)の「結婚式場業」を対象に、2023年の業績(2023年1月期~12月期決算)を最新期とし、5期連続で売上高が判明した112社(利益は41社)を抽出し、分析した。

売上高はコロナ前にあと一歩

結婚式場112社の2023年の売上高合計は3,477億600万円(前期比13.2%増)で、2年連続の増収だった。コロナ禍前の2019年(4,007億6,900万円)の9割弱(86.7%)まで迫っている。
2023年はコロナ禍の2021年を底にして、婚礼取扱件数が増加した大手を中心に売上高は急回復している。
また、2023年の当期純利益は149億3,200万円(前期95億3,500万円)だった。2020年、2021年は大幅減収から赤字に転落したが、2023年は増収増益を果たした。当期純利益は、2019年を上回り、コロナ前を超えた。

売上高5億円未満が6割弱

売上高別では、売上帯の最多は1~5億円未満の35社(構成比31.2%)で、1億円未満が28社(同25.0%)と続く。
5億円未満が全体の6割弱(56.2%)と、半数超を中小・零細式場が占めている。
全国展開の大手とエリア限定で展開する中堅、中小事業者との分化が進んでいる。

売上高増減別 増収企業が6割以上に回復

売上高の増減は、2023年の増収は72社(構成比64.2%)に対し、減収は16社(同14.2%)、横ばいが24社(同21.4%)だった。2022年の増収は66社(同58.9%)で、2023年は5.3ポイントアップで増収トレンドになっている。
2023年の売上高伸長率は、10~100%未満が51社(同45.5%)で、以下、0~5%未満が34社(同30.3%)と続き、100%以上は2社(同1.7%)だった。2022年に比べ、大手を中心に売上高の回復基調が続いた。

損益別 黒字企業が約7割

最終損益別は、2023年まで5期の利益が判明した41社でみた。
2023年の黒字は28社(構成比68.2%)、赤字は13社(同31.7%)だった。黒字企業数は2022年の26社(同63.4%)を上回った。
売上高はコロナ前の水準に回復していないが、利益では黒字企業数は2019年とほぼ同じ水準で、コロナ前に戻した。

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