熱中症から子ども守る 寒河江中部小に製氷機設置、各自水筒に入れ補給

製氷機の氷を水筒に入れる児童=寒河江市・寒河江中部小

 寒河江市の寒河江中部小(681人、那須隆秀校長)学区内の住民有志が子どもたちの熱中症予防に役立ててもらおうと、大型製氷機を購入し26日、同校に寄贈した。業務用で一度に45キロ分の氷を作る能力がある。「暑さ指数」を計測するセンサーを校内に取り付けて予防するなどの対策が進む中、水筒に入れたり、血管に押し当てて冷やしたりするなど、氷ならではの多様な用途に着目した。

 同校は児童数が県内で3番目に多く、学区も広範囲で遠方の子は徒歩で約2.5キロを通学する状況を受け、「酷暑から子どもたちを守るため何かできないか」と、学校運営協議会で話題に上がり先月29日に購入を決めた。

 PTAや地元住民で組織する協力会(酒井原雄大会長)を立ち上げ、今月12日から市内企業や地区住民らに1口5千円で協力金を募ったところ、26日までに個人、企業から約160口(約80万円)集まった。募集期間は28日までとしていたが、ここ数日の猛暑により、前倒しして製氷機(約70万円)を購入した。

 同校は下校前に子どもたちの水筒に氷を入れて帰宅させるほか、万が一、グラウンドや体育館での活動中に熱中症の症状を訴えた子どもの応急処置のケースで活用を考えている。この日、製氷機は1階水飲み場近くに設置され、大量の氷を目にした子どもたちは「やった」とうれしそうな声を上げ、豪快に水筒に入れ勢いよく水を飲んでいた。

 協力会は余ったお金で氷を保存する冷凍庫や、児童へ貸し出す日傘なども購入する予定。学区内の事業所には、児童が登下校時に涼める「クーリングスポット」として立ち寄れるようにも依頼もしている。

 酒井原会長(47)は「県内では昨年、熱中症による中学生の死亡事例もあり、入念な対策が欠かせない。地域全体で子どもたちを支えたい」と語る。那須校長(59)は「迅速な対応に大変感謝している。子どもたちの安全な学校生活に生かしたい」と話した。

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