「虫送り」未来へ、ずっと 酒田・五穀豊穣願う伝統行事、新たに広野小5年生加わる

広野小の5、6年生が舟みこしを持って地区内を練り歩いた「虫送り」=酒田市広野

 コメなどの農作物を病害虫から守り五穀豊穣(ほうじょう)を願う酒田市広野地区の伝統行事「虫送り」が22日、行われた。少子高齢化で担い手が減っており、地域文化を未来に継承するため今回から従来の広野小6年生に加え5年生、両学年の保護者も参加した。児童らは舟みこしを担ぎ、かねや太鼓を鳴らしながら、保護者や広野コミュニティ振興会のメンバーと地元を練り歩いた。

 虫送りは一度は途絶えたものの、地元住民による保存会が1983(昭和58)年に復活させた。児童は6年生が参加していた。振興会や同小PTAなどが協力し、本年度から参加対象を広げた。

 5、6年生と保護者は振興会メンバーと共に、長さ2メートルほどの舟みこしを竹とヨシで組み、虫をおびき寄せ捕まえる意味を込めた巨大な花梵天(ぼんてん)、竹に花をあしらった竹刀花を作った。舟みこしには「家族みんな幸せになりますように」「剣道がうまくなりたい」など、児童の願いを書いた紙を飾り付けた。

 この日の虫送りには児童18人や保護者、振興会メンバーの計約40人が参加。広野皇大神社で神事に臨み、児童はかねや太鼓の音に合わせて元気よく「ヤー」とかけ声を上げながら、広野コミュニティセンターまで歩いた。道路脇で見守った住民には竹刀花を手渡した。

 参加した5年安食めいさん(10)は「みんなの願いがかなうといいな。6年生になる来年は、5年生を引っ張っていけるように頑張る」と笑顔で話した。振興会の佐藤淳会長は「担い手は年々減ってきているが、新たに5年生や保護者が加わったことで、文化を後世に伝えていくことができると期待したい」と話していた。

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