大阪・関西万博 海外パビリオン、タイプ変更に「重要なのはコンテンツのクオリティー」国際参加者会議

会見後、握手をする日本国際博覧会協会・石毛事務総長(左)と博覧会国際事務局(BIE)・ケルケンツェス事務局長<2024年6月26日午後 奈良市>

大阪・関西万博の参加国代表が集まり、奈良コンベンションセンター(奈良市)で開かれていた「国際参加者会議」が26日、2日間の日程を終えた。参加者は約160か国・地域の約600人。

【画像】「タイプA」だけがパビリオンではない!

大阪・関西万博をめぐっては、海外パビリオンの着工、建設の遅れが懸念されている。「タイプA」という独自で設計・建設するパビリオンを希望するのは51か国。このうち32か国が着工済み。しかし11か国で建設業者が決まっておらず、8か国が未着工となっている(6月26日現在)。

運営する日本国際博覧会協会は、会場の人工島・夢洲の舗装工事をスタートさせることから、各国に対して今年(2024年)10月中旬までに建築工事を完了するよう求めている。舗装の際に重機が入ると、パビリオンの建設作業が事実上不可能になるためだ。

こうしたことから博覧会協会は、来年4月13日の開幕までにパビリオンの完成が困難とされる国に対し、協会が代わりに建物を建て参加国が費用を負担する「タイプX」や、複数の国が1つの建物に入る共同パビリオン「タイプC」への移行をうながし、敷地を返却させる方針を固めている。

これに伴って生じた敷地の”空き”については、会期中のナショナルデーやスペシャルデーなど多くの文化イベントと式典のための催事場として活用する案も浮上している。

なお、6月までにブラジル、トルコ、アンゴラ、インド、イランの5カ国がタイプXに、パキスタン、ナイジェリア、アルメニア、スロベニアなど5カ国はタイプCへ移行することが判明。ロシア、メキシコ、アルゼンチンは撤退を表明している。

会議終了後に会見した石毛博行・博覧会協会事務総長は、「経済環境の変化は避けられず、各国の特有な事情もからんでいる。パビリオンのタイプは選択肢の問題だ。万博の本来の目的として、大きな国より小さな国が、力強く存在感を示すことが重要」と話した。そして10月の“デッドライン”については、「各国と個別にコミュニケーションを取り、場合によっては工期の延長もあり得る」という考えを示した。

また、博覧会国際事務局(BIE)のディミトリ・ケルケンツェス事務局長は、「パビリオンのサイズではなく、コンテンツのクオリティーが重要だ。しっかりしたメッセージがなければ意味がない」と述べた。

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参加国間の「運営委員会」も発足、26日に初会合を開いた。議長国はスイス。このほかイタリア、イギリス、オランダ、アンゴラの政府代表を中心に28人の委員で構成。今後3か月ごとに(開幕後も)会合を開き、参加国の要望を博覧会協会に伝えて課題を解決する。

スイス政府のマニュエル・サルフリ代表は「開かれた万博とは何か、ということを考えたい」と意気込みを語った。

また、在大阪オランダ総領事館のマーク・カウパース大阪総領事は「各地の紛争で世界が分断される中、万博の意義を問い、希望を見出したい」と話した。

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