福島県会津若松市東山温泉と東京都台東区の縁再び 8月1日からの盆踊りを区民に紹介 疎開当時の写真届く

台東区に贈る東山盆踊りのポスターを手に、新たな縁に期待を込める平賀会長

 太平洋戦争末期の疎開児童を励まそうと始まった福島県会津若松市東山温泉の東山盆踊りで、東山温泉と児童の出身地・東京都台東区の縁が新たに動き出す。台東区は8月1日からの盆踊りを区民に紹介し、歴史的なつながりと観光促進をアピールする。一方、温泉地内に滞在した疎開児童の写真が台東区民から届き、市内の関係者が資料の保存・活用を検討している。今年で80周年の節目を迎える盆踊りを機に、関係者は相互交流に夢を膨らませる。

 東山盆踊りは新型コロナ禍を経て5年ぶりに開かれる。観光団体などが情報発信や機運醸成の方法を模索していたところ、疎開児童を受け入れた関係で台東区と友好姉妹都市となっている会津美里町の関係者が仲介役となり、東山温泉と台東区の縁が復活した。

 東山温泉観光協会は盆踊りのポスター15枚とチラシ150枚を台東区に贈る。区側は観光や生涯学習関連の施設に張り出してPRする。区都市交流課の担当者は「歴史的なつながりを再確認する機会とし、盆踊り再開に少しでも協力したい」としている。観光協会の平賀茂美会長は「区民への周知の中で疎開児童だった人が分かれば、盆踊りに招待することも考えたい」と構想を語る。

 疎開児童の写真は台東区の根岸小創立150年記念誌に複数収められていた。そのうちの1枚は、木造の老舗旅館を背に立つ女子児童が鮮明に写る。市内の関千尋さん(関美工堂)の元に知人から届いた。見つかっている疎開児童の写真は少なく、東山温泉向瀧などに残るのみ。平賀会長は「当時を知る貴重な写真。これを機に台東区における写真提供の呼びかけ、資料としての整理・活用を検討したい」と話す。今回の縁をきっかけに、東山温泉の区民への浸透に期待を込め「新たな交流につなげていければ」と話している。

 東山盆踊りは会津若松市の夏の風物詩。福島民報社は1967(昭和42)年、1997(平成9)年にやぐらを贈った。

東山温泉に疎開した台東区の児童が写る写真

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