中国の若者に「山系コーデ」人気 都会生活に自然取り込む

中国の若者に「山系コーデ」人気 都会生活に自然取り込む

ライブ配信で商品をアピールするアウトドア用品会社のスタッフ。(2022年6月14日撮影、台州=新華社記者/翁忻暘)

 【新華社北京6月27日】中国の若者の間でここ数年、マウンテンパーカー、フィッシングベスト、スエットパンツ、ダッドスニーカーなど「お父さん世代」のものと思われていたアウトドアウエアが人気を呼んでいる。

 野外生活から生まれたこれらのアイテムは古くさいイメージもあるが、着心地の良さとコーデのしやすさから、アウトドアスポーツを通じて若者の日常生活に溶け込んでいる。朝の地下鉄でもマウンテンパーカーやフィッシャーマンハットを身に着けた人は珍しくなく、ネットでは「通勤中の人なのか、山や海に遊びに行く人なのか、もう区別がつかない」という声も聞かれる。「山系コーデ」の消費の主力を担うのは若者だ。ある通販サイトのデータによると、マウンテンパーカーの消費者層は30~34歳が60%、25~29歳が19%、35~39歳が17%を占める。

中国の若者に「山系コーデ」人気 都会生活に自然取り込む

2023年に北京で行われたマウンテンパーカーのファッションコンテストで、応募作品を着たモデル。(2023年9月12日撮影、北京=新華社記者/才揚)

 ファッションアイテムがそろう中国の通販アプリ「得物」でも「山系コーデ」関連のキーワードの検索が増えている。「95後」(1995~99年生まれ)や「00後」(2000年代生まれ)の若いユーザーに人気なのは、キャンプ風のスタイルや、ミニマリスト、アメリカンレトロ、少年を思わせるようなスタイルだ。UVカットのトップスやマウンテンパーカー、中国の伝統的な要素を取り入れた装いは今年、外に出かける若者の必須アイテムになっている。一部のファンにだけ好まれていたマウンテンパーカーは市場を一挙に拡大し、中国インターネット検索大手、百度(バイドゥ)でも検索数の多いキーワードの一つになった。

 「山系コーデ」が愛される最大の理由はその着心地の良さにある。1日に1万歩以上歩くというブロガーの孫鵬(そん・ほう)さんは「登山靴に慣れてしまってから、めったに革靴を履かなくなった」と語る。「登山靴はバリエーションが豊富で、レジャーにもビジネスにも使える。何より履き心地が良い」。ゆったりとしてコーデしやすいマウンテンパーカーやスウェットパンツは着こなしにもあまり制約がない。性別も問わず、男女とも着られるモデルが数多くある。

中国の若者に「山系コーデ」人気 都会生活に自然取り込む

2023年に北京で行われたマウンテンパーカーのファッションコンテストで、応募作品を着たモデル。(2023年9月12日撮影、北京=新華社記者/才揚)

 アウトドアの実用性と都会的なファッション性を兼ね備えているのも「山系コーデ」が若者に支持される大きな理由だ。マウンテンパーカーはポケットが多く収納力抜群で、動きやすく、丈夫で汚れにくいことから、山や森、川といった環境に強い。体形にフィットした裁断や目立たないポケットのデザイン、落ち着いたアースカラーはトレンドの第一線で通用する。若者にとって「山系コーデ」は、使いやすく手入れが簡単で、おしゃれで着映えするスタイルを意味している。

 野外に探検に出かけるにも町を歩くにも適した「山系コーデ」。忙しく仕事に追われる若者は、アウトドアスポーツを頻繁に楽しむことはできないが、カジュアルウエアとして「山系コーデ」を楽しむことならいつでもできる。都会のファッションと自然が溶け合ったこのトレンドの盛り上がりは今後しばらく続きそうだ。(記者/楊珏)

© 新華社