森保監督が長谷部誠氏を〝後継〟指名?「早くなってくれれば」 盟友・武田修宏氏に明かす「代表入り、代表監督の資質」

日本代表・森保一監督(左)と武田修宏氏

サッカー日本代表の森保一監督(55)が、元日本代表FW武田修宏氏(57=本紙評論家)との“盟友対談”で熱き思いを激白した。全2回の前編では、Jリーグへの提言や、競争が激化する代表レギュラーに求められる資質などを力説。さらに、今後自身が思い描く“欧州進出”への思いや、今季限りで現役引退してドイツで指導者へ転身する長谷部誠氏(40)に高まる日本代表監督待望論への自説も語った。

武田氏(以下、武田)森保監督は海外とJリーグを視察しているけど、現状は何が違う?

森保監督(以下、森保)ひと言で言うと、強度じゃないですか。ゴールに向かっていく勢いというかスイッチ。そのパワーは、やはり差があるかなと。ボールの奪い合いのところの強度も欧州のほうが高い。でも、日本もすごく良くなってきていると思います。

武田 どうすれば追いついていけるかな。

森保 これは現場だけではちょっと難しい。強度高くいって、レフェリーがファウルを取ったら、やっぱりできないわけで。選手、指導者、レフェリーも含めて上げていく環境をつくっていかなければいけないと思っています。あとサポーターの方々も、Jリーグではどのチームも応援に特徴があって素晴らしいと思うんですけど、もっと抑揚があってもいい。批判的なところ、ブーイングは少ないと思います。「いや、ダメだ」と思った時には、ブーイングするというのはあってもいいかな。

武田 代表監督から見て代表に定着するのはどんな選手なのかな。

森保 1対1の局面で勝っている人じゃないですか。例えばDF冨安健洋(アーセナル)で言うと、相手がどんなすごいウインガーだって止められるんですよ。で、そこから攻撃に移れる。局面で1人で勝っていける選手で、かつチームプレーもできる。局面で自分の責任で、完全に相手を上回っていけるということが攻撃でも守備でも求められると思います。

武田 世界で勝つための強化も難しいよね。

森保 まずは個のレベルアップという意味で、欧州のより高いレベルのところでプレーしてもらうことがチーム力を上げることにつながっていくとは思います。5大リーグにできれば入ってもらって、そこでトップのチームに日本人の選手が入って、欧州チャンピオンズリーグ(CL)を戦って、優勝を狙えるようなチームに日本人選手がより多く行くことが日本代表の戦力アップにつながる。ただ忘れてほしくないのは個だけになるのじゃなくて、組織的に戦うというお互いのつながりをなくすと、やはり日本の良さとは言えない。

武田 欧州トップレベルの選手も増えてきた。

森保 カタールW杯で解散する時にも「CLの優勝を狙えるチームでプレーすることを目標にしてほしい」と言いました。多くなっていると思いますね。CL、欧州リーグ(EL)、その舞台でやれている選手が多くなってきているので強くなっていると思います。

武田 森保監督はステップアップしないの? 欧州に行きたいでしょ。

森保 良きタイミングで監督のオファーがあれば、もちろんやりたいですけど。カタールW杯が終わった時には、欧州に行こうかなというのも…。監督ができるかどうか分からないですけど、欧州で生活したことがないので。選手たちは欧州で生活して、日常生活の中から、いろんな価値観の違い、いろんな苦労をしながら生活して、世界の競争力の中で外国人枠を日本人として勝ち取っているのがすごい。そこの場に近くで生活して見てみたいなというのはありますね。指導者として? はい、コーチでもいいので。ただ語学がちょっと問題なんですけど…。

――長谷部氏が引退して欧州で指導者を始める。将来は日本代表監督も期待されている

森保 長谷部のように欧州でキャリアもあって指導者を目指すという人が出てきてくれて、日本代表の監督になってもらうのはベストだなと思っています。今は自分が監督をやらせてもらっていますけど“つなぎ”だと思っているところもあるので。日本代表の勝利と日本サッカーの発展という今できることはやっていきますけど、今見ている選手は欧州で活躍している選手。やっぱり日本と欧州、世界の価値観の違いも知りながら、選手にアプローチして、経験値も高いほうが監督をするのは自然なことかなと。なので“長谷部監督”、早くなってくれればなと思っています。もし今できるんだったら、今すぐ代わります(笑い)。

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