九州電力社長「運転延長は通過点」 小型モジュール炉新設へ意欲 株主総会では「廃炉」発議を否決

九州電力の株主総会会場に入る株主ら=26日、福岡市

 九州電力は26日、福岡市内で株主総会を開いた。川内原発(鹿児島県薩摩川内市)と玄海原発(佐賀県)の廃炉を定款に追加するよう求めるなど株主提案の全18議案を反対多数で否決した。取締役選任、剰余金の処分について普通株式1株当たりの配当を年25円とするといった会社提案はいずれも可決した。

 廃炉議案は株主47人が提出し、北陸電力志賀原発がある石川県志賀町で最大震度7を観測した能登半島地震を理由に挙げた。北陸電の想定より長く活断層が連動したとし「地震は予知できず、原発が動いていれば被害は計り知れない」と主張した。

 川内原発関連ではこのほか、株主から使用済み燃料プールに余裕がないとして廃炉を求めたり、脱炭素へ3号機増設の手続き開始が必要としたりする議案が出た。

◇池辺社長「運転延長は通過点」

 九州電力の池辺和弘社長は26日、会見を開き、7月4日からの川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の20年運転延長入りについて「一つの節目だが通過点。安心安全な状態をより高みにもっていき、信頼を得ていく」と述べた。原発は今後も必要とした上で「小型モジュール炉(SMR)が一つの選択肢」と新設に意欲を見せた。

 20年運転延長は「原則40年、最長60年」とする現行制度で認められた。2025年6月からは10年ごとに原子力規制委員会のチェックを受ける新制度に移行するため、九電は1号機50年、2号機は40年までの運転延長を申請している。池辺社長は関西電力大飯原発3、4号機(福井県)が新制度で先行して認可されたことを踏まえ「スムーズに審査してもらえると期待している」と話した。

 SMRは、川内原発3号機の増設に対する考えを問われた中での発言。「今の原発の知見にとらわれないなら他の地点でも可能だ」とした。増設に備えた送電線設備は整っているとしたが、コスト回収を課題に挙げた。 

 新制度は、30年超の運転を計画する原発に対して10年ごとに規制委の認可を求める一方、60年を超える運転を可能としている。運転開始から30年を超える川内1、2号機は、新制度開始前にそれぞれ50年、40年までの認可を取る必要がある。

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