猛打賞の23歳に「決めてほしかった」 さらなる飛躍へ…新庄監督があえてつけた“注文”

西武戦の指揮を執った日本ハム・新庄剛志監督【写真:矢口亨】

日本ハム・水谷は6打数3安打1打点も…延長12回2死一、二塁で空振り三振

■西武 2ー2 日本ハム(26日・県営大宮)

日本ハムは26日、大宮で行われた西武戦を2-2で引き分けた。水谷瞬外野手が今季4度目の猛打賞も、延長12回2死一、二塁の絶好機で空振り三振。新庄剛志監督は「最後決めてほしかったね」とさらなる成長を願うからこそ、求めたことがあった。

延長12回2死一、二塁で迎えた第6打席。この日一番当たっていた水谷の打席に、大宮のファンの期待は高まった。2球で追い込まれながら粘るも、最後はワンバウンドするスライダーにバットが空を切る。チームの勝利がなくなった瞬間だった。

初回無死一、三塁の第1打席で先制の右前適時打。ここまで無敗の相手左腕・武内から幸先よく先制点を奪った。第2打席も左前打、第3打席は敵失で出塁し、8回の第4打席は左翼線への二塁打と快音を連発していた。

「ヒットは打ちましたけど、最後決めてほしかったね。焦る気持ちはわかりますけど」と振り返った指揮官。「ああいう場面こそ、見逃し三振でもいいくらいの気持ちで。真っすぐか変化球を1本狙って仕留める。空振り三振も見逃し三振でも一緒くらいの気持ちで、自分が決めるっていうような心構えができていけば。まだ必死で、できないと思うんですけど」と説いた。

「真っすぐ1本だったらあれを振らない。10年後にはそうなってほしい」

ソフトバンクに所属した昨季までの4年間は1軍出場なし。現役ドラフトでやってきた新天地でチャンスをつかんだ。交流戦では全18試合に出場して歴代最高の打率.438をマーク。16試合で安打を放ち、そのうち8試合が複数安打、7試合で長打と打棒を爆発させ、MVPを獲得した。

覚醒した23歳は“新星”としてすっかり注目を集めているが、まだまだ階段を上がっている途中。だからこそ、新庄監督は「いいバッターで、ああいう場面で見逃し三振をして帰るバッターいるでしょう? あれはもう、腹を括ってどちらか絞る。コースもそうなんですけど。ああいう場面で真っすぐ1本だったら、あれを振らないしね。10年後にはそうなっていてほしいですね。5年後か」と願うのだった。

4時間3分の戦いは痛み分け。最下位・西武に1敗1分けは上出来とはいえない。それでも発展途上の若武者たちは、ひとつひとつの経験を糧に進んでいく。(町田利衣 / Rie Machida)

© 株式会社Creative2