中国競泳選手のドーピング問題、フェルプス氏がWADAを「無能」と痛烈批判―香港メディア

27日、香港メディア・香港01は、中国競泳選手のドーピング問題について、米国の元競泳選手フェルプス氏が世界アンチ・ドーピング機構を「無能」と批判したことを報じた。写真は張雨霏。

2024年6月27日、香港メディア・香港01は、東京五輪前のドーピング検査で陽性反応が出た中国の競泳選手が東京五輪に出場し、パリ五輪にも出場予定である問題について、米国の元競泳選手マイケル・フェルプス氏が世界アンチ・ドーピング機構(WADA)を「無能」と批判したことを報じた。

記事は、米紙ニューヨーク・タイムズが今年4月、2021年の東京五輪1カ月前に中国の競泳選手23人から禁止薬物トリメタジジンの陽性反応が出ていたにもかかわらず、WADAが罰則を科さない上に出場を許可したと報じたことを紹介。このスキャンダルは世界を震撼(しんかん)させ、米国をはじめとする国、地域の水泳選手や選手団体がWADAへの批判を展開したと伝えた。

また、WADAは当事者である23人の中国人選手の氏名を公表していないものの、東京五輪で金メダルを獲得した張雨菲(ジャン・ユーフェイ)や汪順(ワン・シュン)といったトップ選手が含まれていたとし、先週発表されたパリ五輪の中国代表男女31人にも11人の当事者が含まれていたと紹介している。

その上で、この問題に対するWADAの姿勢について米国政府は強い不満を示しており、連邦議会も反ドーピング対策に関する公聴会を開いたと指摘。2007年の世界水泳選手権で7つの金メダルを獲得するなど輝かしい功績を持つフェルペス氏も公聴会に招かれ「WADAによるいかなる改革の試みも失敗したことは明らかだ。WADAにはいまだに構造的な問題が根深く残っており、国際スポーツ界の整合性とアスリートの公正な競争の権利を破壊することが何度も証明されている。アスリートとして、私たちはもはやWADAを盲目的に信頼することはできない。WADAは、世界中で一貫してポリシーを実施することができない、あるいは実施する気がない無能な組織であることを証明し続けている」と痛烈に批判したことを伝えた。

記事は、WADAがこの問題について強硬的な姿勢を崩すことなく、米国に対しても「WADAが独立して調査を行っている他国の個別事案を、米国議会での政治論争に持ち込むのは不適切」と反発していることを紹介しつつ、「米国にも文句を言う権利はある」と指摘。世界的な反薬物組織であるWADAの資金の半分は国際オリンピック委員会(IOC)から、残りの半分は世界各国政府から捻出されており、中でも米国が最も多くの資金を提供していることを理由に挙げた。(翻訳・編集/川尻)

© 株式会社 Record China