体型は“ちょっと太め”がいい?「老後のがん」を遠ざける7つのポイント【医師の見解】

(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢者の不安の種として挙げられることが多い「がん」。がんにならないためには、どのようなことに注意を払って日々を過ごすべきなのでしょうか。鎌田實氏と和田秀樹氏の共著『医者の話を鵜吞みにするな』(ワック)より、鎌田氏が提唱する「がんにならない生活術」について医師2人の対談を見ていきましょう。

がんにならない生活術

和田 高齢者の不安のタネに「がん」があります。「がんにならない生活術」というものを鎌田さんは提唱していますが……。

鎌田 第1に「ちょい太のほうががんになりにくい」ということです。多くの医師は「BMI(体重を身長で2回割った数値)は22」なんていうかもしれませんが、年をとったらBMI26くらいでも問題ない。「ちょい太でだいじょうぶ」なんです。

ちなみにBMIの数値は18.5以上25未満が普通で、18.5未満が痩せ型、25以上30未満が「やや肥満」。メタボリックシンドローム対策の対象となる数値ですね。でもBMIが23〜25のちょい太に比べ、19未満の痩せ型はがんの発生率が30%も高いのです。BMI25以上は肥満とされていますが、26くらいまでOKです。

和田 私はあまり気乗りがしませんが、減塩も大事だそうですね?

鎌田 それが2番目。最近でこそ、日本人のがんの死因の1位は男性が大腸がん、女性は乳がんになりましたが、根強く残っているのが胃がんです。塩分は胃がんを誘発し、大腸をはじめ消化器系のがんに大きな影響を与えます。総じて味が濃いめで塩分の摂取量の多い秋田県、青森県は胃がん患者が多いのです。スクワット(運動)、減塩につぐ3番目は抗酸化力をアップさせること。がんも認知症と同様に、慢性炎症が引き金になっているといわれています。

和田 抗酸化力をアップさせる食品群が発表されていますよね。

鎌田 1990年にアメリカの国立がん研究所が「がん予防に重要な野菜リスト・デザイナーフーズ」を発表しています。野菜は抗酸化力を高める順にピラミッド型になっていて、最も予防効果が高いのはニンニク。次いでキャベツ、ショウガ、大豆、ニンジン、セロリ。これらを普段から摂ること。

僕はお寿司屋さんに行くと、一貫食べるごとにガリを口にします。家の冷蔵庫には甘酢につけたガリを常備しているし、トンカツを食べるときは必ずキャベツの大盛りを頼みます。セロリもピラジンという成分が血液をサラサラにして、血栓やがんを予防するような作用があります。

いつまでも長くお酒を楽しむための「道」

4番目は免疫力のアップ。人間の免疫細胞は7割が腸にあるといわれているので、腸内環境をよくすれば免疫力が上がります。それには発酵食品と食物繊維をよく摂ること、そして、よく笑うこと、希望を持つことで免疫力はアップします。5番目は、何度も述べるようにスクワットとカカト落としなどの貯筋運動。

和田 やはり「貯筋」が大事。

鎌田 毎日ちょっとずつでいいんですからね(笑)。そして6番目が禁煙。タバコは百害あって一利なし。最後の7番目がアルコールは適量に。日本酒なら2合程度が目安。飲み過ぎはいけません。ワイン大好きな和田さんは、美味しいワインを見つけて、楽しんで、それを仲間たちに振舞って、周りをよろこばす、そういう素晴らしい時間が、長く続けられるように……。

でも余計なことですが、度を越さないようにしてください。死亡率が最も低いのが、一日平均、純アルコール約20グラムを摂取するグループで、飲まない人よりも、少し飲む人が長生き。ワインなら1日に1杯半がおすすめ。僕が主治医なら、和田さんの生き方に少しおまけをして2杯。こんなことをいわれたら、和田さんは僕の外来に絶対に来たくなくなるかもしれませんね(笑)。でも、いまは少しだけ控えておくことが、いつまでも長〜くお酒を楽しむための道なんですよ。

鎌田 實
医師

和田 秀樹
精神科医

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