海をバリアフリーに 障がいがある人が諦めていた海遊び 水の上では誰もが同じ目線で楽しめる【広島発】

「海をバリアフリーに」障がいのある人と健常者がともに海遊びを楽しむイベントが広島・江田島市で開かれた。水に浮く水陸両用車いすや海の中が見えるクリア・カヤックなどで参加者らは海遊びを楽しんだ。

諦めていた海遊びを

広島・江田島市のビーチには、カヤックやSUPだけでなく、ちょっと見慣れない乗り物も。

障がいがある人たちの中には、もともと海で遊ぶことを諦めていた人が多かったが、この日のイベントは、そんな固定観念を打ち破る試みだ。

イベントを企画した ゼログラヴィティ・上岡央子さん:
日本は海で囲まれているのに、それを知らないまま”もうできない”と諦めているのがもったいないなと思ったのがキッカケ

今回のイベントは、全国各地で誰もが楽しめる海遊び環境を作るための活動をする団体と江田島市の団体が連携して開いた。

東広島市からの参加者:
車いすの業者からは、「砂浜の砂でも海水が含まれているから、日常、乗っている車いすで、海で遊ぶのはおすすめしない」と言われ、海に来ることはもともと諦めていたので、いろいろと楽しみたい

事前に海ごみなどを取り除いた砂浜に専用のマットを敷いて水際までバリアフリーに。そして用意された車いすは”水陸両用”で水に入ると浮かぶ構造。

東広島市からの参加者:
もしかしたら病みつきになるかな。みなさんに助けてもらわないといけないが、これを車いすの人にもできたよと伝えたい

また、すべてが透明の素材でできた「クリア・カヤック」は、障がいなどで水の中に潜れない人でも、海の中の世界を覗くことができる。

体験した小学生:
楽しかった

イベントには15人の障がいのある人と健常者の合わせて42人が参加した。

水の上では健常者も障がいのある人と同じ目線に

また水陸両用車いすやクリア・カヤックには健常者も挑戦。これらの乗り物は運動が苦手な人や小さな子どもも楽しむことができる。

イベントの企画者は、このような機会で健常者も障がいのある人と同じ目線で、どういうことが不便なのかを体験できると、その意義を強調する。

ゼログラヴィティ・上岡央子さん:
障がいのある方とは、なかなか普段でも接する機会がないが、こういうイベントで関わることで障がいのある方の特性、どういうことが不便なのかに気づくことができる。今回、イベントのテーマに“同じ水準で楽しめる”というのがあったが、共生社会、社会の中で一緒に楽しむことが、これをキッカケに広がっていけばいい

こうしたイベントはまだ少ないが、主催者らは、今後は行政との連携も強化しより多くの人を巻き込んでいきたいということだ。

(テレビ新広島)

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