大江裕のデビュー15周年を締めくくる『高山の女よ』 「男の悲恋を情感たっぷりに歌っています」

“演歌の神様”と仰ぐ師・北島三郎にあこがれ、演歌歌手となる夢を10代で実現し、昨年デビュー15周年を迎えた大江裕(ゆたか)。そのメモリアルイヤーのラストを締めくくるシングルとして今年2月にリリースされた『高山の女(ひと)よ』(作詞:さくらちさと、作曲:岡千秋、編曲:石倉重信)が好評を博している。少年時代からこよなく愛する演歌を歌い続け、「人々の心をふるわせるような歌手になりたい」と歌の道にまい進する大江に『高山の女』の楽曲制作秘話から、歌番組だけにとどまらずバラエティ番組にも出演を続けることへの心の内に秘めた思いまでを聞いた。


「高山祭」と故郷・岸和田の「だんじり」を重ね合わせた

──『高山の女よ』は、前作『城崎しぐれ月』に続いて、しっとりとしたご当地ソングになりましたね。

昨年春にデビュー以来長きにわたってお世話になっている北島三郎先生の事務所から心機一転移籍しました。そこで新たな大江裕を見ていただこうと、『城崎しぐれ月』に続いて、『高山の女よ』もしっとりとした男歌を歌っています。大江裕というと、デビュー作の『のろま大将』をはじめ、どちらかといえばテンポが速めの力強い歌を歌うイメージがあったかと思いますが、『高山の女よ』は、日本三大美祭のひとつとされる「高山祭」をモチーフに男の悲恋を情感たっぷりに歌っています。リリースから3カ月が経ち、「しっとりと歌い上げる大江裕もいい」「スローテンポだからカラオケも歌いやすい」というお声もいただいて、うれしく思っています!

──高山祭についてどのような印象をお持ちですか?

高山祭が行われる岐阜県というと『奥飛騨慕情』をはじめ、数多くの名曲が生まれた場所という印象がありました。そんな岐阜を舞台とした曲が僕のラインアップにも加わることになって、とても感激しています。ただ、レコーディングの前にスケジュールの都合をつけられず、実際に高山市を訪れることができなかったんです。高山祭については資料や写真を見てイメージするしかないなと思ったのですが、調べてみると僕の故郷の岸和田で「だんじり」と呼んでいる絢爛豪華な山車を、高山では「祭り屋台」と呼んでいることを知りました。親しみがわきましたし、祭りにかける熱い思いも岸和田と重なるものがあると感じたんですよね。この5月にようやく念願かなって高山市にうかがう機会をいただきましたので、実際に見た風景を心に刻み、この曲をますます大事に歌っていきたいと考えています。

レコーディングで思い起こした師・北島三郎の言葉

──レコーディングには、作詞のさくら先生、作曲の岡先生が同席されたとうかがいましたが、両先生とはどのようなお話をされたのでしょう? また、師匠の北島三郎さんからは、どのようなお言葉がありましたか?

岡千秋先生には「大江君は島津亜矢さんのように力強い曲が合うかなと思ったけれど、しっとりした曲もいけると思うから、余計なことを考えずに大江君らしさを忘れずに歌ってほしい。そうすれば伝わると思う」とおっしゃっていただきました。さくら先生も「大江さんが考えた通りに好きなように歌ってください」と声をかけてくださり、先生方の言葉に勇気づけられました。そして、レコーディングのときに思い出されたのは、やはり北島先生の言葉です。北島先生は「寂しい曲ほど笑顔で歌え」と教えてくださったんです。先生方と師匠の言葉をかみしめ、少し微笑みながらしっとりと歌いましたらレコーディングがスムーズに運びました。とても幸せな時間でしたね。

──歌うときのポイントを教えてください。

しっとりした歌は、どうしても感情を込めすぎてしまいがちですが歌い手が気持ちを入れすぎると、聴いている方が引いてしまうことがあるんですよね。元気で明るい歌は、気持ちをぶつけて歌えばいいのですが、今作のようなしっとりとした短調の曲は、感情を出し過ぎず、抑えて歌うようにしております。そのあたりの塩梅は気をつけて歌っています。ポイントは、歌いだしはやさしく入って「旅の仮寝の深情け」というところはテンポよく、跳ねて歌うことです。冒頭から同じ調子で流れるように歌うより、メリハリが効いて、さらにすてきな歌になります。カラオケで歌うときは、高山の町を旅する男が来た道を振り返るような情景を思い浮かべていただけたらいいと思います。振り付けもミュージックビデオを見てぜひ覚えていただけたらうれしいです。花柳糸之先生が振りをつけてくださったのですが、僕もなかなか体得できず「しっとりした歌だからこそ身体で感じながら歌わなくちゃダメよ」と叱咤激励を受けて歌わせていただきましたので、ぜひ皆さんもチャレンジしてください。

──2月のリリースからこれまで、どのような反響がありましたか?

『高山の女よ』は、旅先で知り合った女性との出会いと別れを切なく歌った歌ですが、長年連れ添ってきたパートナーを亡くされたという70代くらいのファンの方から「この歌は恋愛の歌でもあるけど、人生のお別れをしたときに沁みる歌でもあるよね」と声をかけていただいたことがありました。いろいろな想いに寄りそえる歌に出合えたことに感謝しています。

──カップリング曲は、待望の音頭作品『ゆたかの感謝節』(作詞:かず翼、作曲:大谷明裕、編曲:石倉重信)です。

今年の2月18日には故郷の岸和田でデビュー15周年記念コンサートを開催しました。そのコンサートを行うにあたり、ぜひとも皆さんに感謝を伝えたいと思いまして、スタッフにお願いしてテーマソングを作りました。それが『ゆたかの感謝節』です。僕の歌を聴いてくださる方にありがとうという気持ちを歌っています。こちらも花柳糸之先生が振り付けをしてくださって、花柳糸之社中の皆さんが踊りでコンサートを盛り上げてくださいました。クラウンレコードの公式YouTubeで振り付けをご覧いただけますので、ぜひとも今年の夏は『ゆたかの感謝節』で盆踊りを楽しんでいただけたらと思います。

北山兄さんとは阿吽の呼吸

──兄弟子の北山たけしさんとのデュオ「北島兄弟」のコンサートも大人気ですね。

「兄と弟で歩いていきなさい」ということで「北島兄弟」と名づけてくださったのは師匠の北島先生です。コンサートでは、1部は北島先生の歌を2人で40分間じっくりと歌い上げて、2部ではそれぞれのオリジナル曲を披露する構成になっています。兄弟で歌う北島先生の歌は、本当にぴったりと息が合うんです。歌は自分の気持ちを込めて歌うので、複数人で歌うとずれが生じるものなのですが、(北山)兄さんと北島先生の歌を歌うと、練習しなくても、音程はもとより、すべてのタイミングが同じになるんです。この2人ならぴったり合うはずだと見込んだ北島先生はさすがだなと思いますね。ちなみに兄さんと食事に行くときは、先輩の前で失礼があってはいけないので財布は持っていきません(笑)。

自分を知ってもらうことで演歌の素晴らしさを伝えたい

──最近はバラエティ番組にも多く出演されていますが、演歌歌手になったのもバラエティへの出演がきっかけですね。

幼いころ、演歌を教えてくれた祖父から「無理だと思っても当たって砕けろ。そうやって前に進んでいかなければ、お前は終わってしまう」と言われたことがあります。その言葉を胸に歌い続けていたら、高校生のときに「さんまのスーパーからくりTV」(TBS系)の「かえうた甲子園」というコーナーに出演することになり、それがきっかけとなって北島三郎先生に出会うことができたんです。その後「からくりTV」では、「北島先生の歌の心を知る旅」というコーナーで、山の歌を歌えるようになるために田植えを経験したり、『与作』を歌えるようになるために実際に木こりの勉強をしたり、いろいろな体験をして演歌歌手に育てていただきました。その経験によって、すべてのことが実になるのだなと感じるようになりましたね。

──「からくりTV」の「北島先生の歌の心を知る旅」で一緒に全国を回ったTBSの安住紳一郎アナウンサーともお付き合いは続いているのですか?

「北島先生の歌の心を知る旅」では日本全国を回ったのですが、僕は大阪の世間知らずの高校生でしたから、地方へ行く際も電車を乗り過ごしてしまったり、違う駅で降りてしまったりして、そのたびに安住さんをお待たせしていました。頼りない少年だったと思いますが、そんな僕が演歌歌手になるということで上京することになりまして、いちばん心配してくださったのが安住さんです。「大江君、大丈夫? 自分で暮らしていける?」と、常に気にかけてくださいました。安住さんは東京の兄のような存在で、今でも関係は変わりません。「何かあったら言いなよ」といつもおっしゃってくださいます。

──バラエティ番組に出演される際には、どのような思いを持っていらっしゃいますか?

最近またバラエティに出演するようになって、もともとバラエティ番組への出演がきっかけで演歌歌手になったものですから、懐かしさも感じます。でも、真っ先に思うのは、視聴者の皆さんに大江裕という男が何者なのかと興味を持っていただきたいということ。バラエティ番組を通して僕が演歌歌手だと知っていただけたら、演歌の素晴らしさも伝わるのではないかと考えています。

──コロナ禍にダイエットをされてから、体調はいかがですか?

今は1日1食、野菜中心の食生活です。コロナ禍に鍋ダイエットで40キロ減量して、今もキープしています。集めていたストールは、出ていたお腹を隠すためのアイテムだったのですが、もうそれも要らなくなりました。まだ自宅にたくさんストールがあるので、機会があればファンの方にプレゼントしたいなと考えています。

──最後にファンの方へメッセージをお願いします。

『高山の女よ』を愛していただいて、そしてコンサートにもぜひ足を運んでいただけましたら幸いです。これからも魂のこもった歌をお届けして、いろいろなチャレンジをしていきたいと思います。どうぞ応援よろしくお願いいたします!

大江裕『高山の女よ』ミュージックビデオ

大江裕『高山の女よ』

発売中

品番:CRCN-8638
価格:¥1,500(税込)

【収録曲】

1.高山の女よ(作詞:さくらちさと/作曲:岡 千秋/編曲:石倉重信)
2.ゆたかの感謝節 (作詞:かず翼/作曲:大谷明裕/編曲:石倉重信)
3.高山の女よ (オリジナル・カラオケ)
4.ゆたかの感謝節 (オリジナル・カラオケ)
5.高山の女よ (一般用カラオケ・半音下げ)
6.ゆたかの感謝節 (一般用カラオケ・半音下げ)

音楽配信・CD購入はこちら
https://lnk.to/takayamanohitoyo

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