ウィキリークス創設者、自由の身で豪州に帰国 米当局との司法取引成立で釈放

サイパン島の裁判所に到着したジュリアン・アサンジュ氏=26日/Chung Sung-Jun/Getty Images

(CNN) 内部告発サイト「ウィキリークス」の創設者で米国の機密情報を漏えいしたとして起訴され、その後米司法省との司法取引成立を経て釈放されたジュリアン・アサンジュ氏が26日、オーストラリアに帰国した。自由の身となって12年ぶりに祖国の地を踏んだ。

首都キャンベラの空港に集まった支持者から歓声が沸き上がる中、アサンジュ氏はチャーター機から降り立ち、滑走路を歩きながら群衆に手を振った。

ターミナルに近づいたところで妻のステラさんが満面の笑みで現れると、2人は抱擁し、口づけを交わした。

到着後の記者会見にはステラさんのみが出席。アサンジュ氏の感謝の思いを伝える一方、本人はまだ会見の場に出られる状態になく、回復のための時間が必要だと説明した。

目に涙を浮かべながら、どうか自分たちの居場所やプライバシーを確保してもらいたいとステラさんは訴えた。その上で、いずれはアサンジュ氏が自ら選んだタイミングで話をすることになると示唆した。

帰国に先駆け、アサンジュ氏は米自治領北マリアナ諸島サイパン島にある米連邦裁判所で機密情報の入手、拡散を共謀した罪を正式に認めた。

裁判では被告として米司法省に18件の罪で起訴されたが、司法取引で1件の罪を認め、5年2カ月の禁錮刑を言い渡された。ただし英国で収監された期間が算入された結果、米国での収監を免れた。

オーストラリアのアルバニージー首相はアサンジュ氏が帰国の途にあった26日、議会でこの件に言及。同氏が帰国し、家族と再会できるのを喜ばしく思うと語った。同首相は昨年10月に米ホワイトハウスを訪問した際、アサンジュ氏の釈放について取り上げたとみられている。

同氏の釈放を求めてきた国際的な団体によれば、アサンジュ氏は今後、帰国に使用したチャーター機の費用52万ドル(約8300万円)を政府に支払うことになる。同団体はその他の費用も含めた分の寄付を、支持者に対して呼び掛けている。

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