「いつ、いかなる任務が振られたとしても、迅速かつ的確に対応する」大嶋善勝新司令 ステルス戦闘機F35Bが今年度配備 航空自衛隊新田原基地の知られざる一面と役割

北朝鮮のミサイル発射や台湾有事への懸念など国際情勢の緊迫度が増す中、今回は宮崎県新富町にある航空自衛隊新田原基地が担う役割についてお伝えします。

新田原基地の知られざる一面に迫るとともに、この春、基地のトップに着任した大嶋新司令に話を聞きました。

正体のわからない不審者を匂いで嗅ぎ分ける警備犬

新富町にある航空自衛隊新田原基地。
日本の主力戦闘機、F15などが配備され、およそ1600人の隊員が所属しています。

実は、基地の安全を守っているのは隊員だけではありません。

「こちらが警備犬のハク号です」

主に基地の警備を担当する警備犬。
日ごろ、基地内を巡回し、不審者や不審物などの警戒にあたっています。

(管理隊警備小隊・犬舎係長 串間昂幸さん)
「警備犬の健康管理、それから警備犬の能力を向上させるために、訓練だったり、また、自分たちの能力も向上したりということを日頃やっています」

今年4月に新田原基地へ入隊したばかりの2歳のハク号は、一人前を目指して現在、特訓中です。

(管理隊警備小隊犬舎班員 児玉隆美さん)
「ハク号はおちゃめでやんちゃなところがあり、そこが可愛くもあるし、それが訓練に影響することもあるので、そこのメリハリを持って、やっていきます」

犯人や行方不明者などの匂いをあらかじめ覚えさせて捜索を行う警察犬などとは違い、正体のわからない不審者を匂いで嗅ぎ分ける警備犬。

この能力をいかし災害現場で瓦れきの下などから人を探し出す、救助犬としても活躍しています。

(管理隊警備小隊犬舎班員 児玉隆美さん)
「(ハク号は)災害救助犬を目指しているので、災害派遣の任務にハク号と一緒に随従できることを目標に頑張っている」

九州南部から四国全域まで管轄 新田原救難隊

新田原基地ではF15などの戦闘機の姿が目立ちますが、基地にはほかにも様々な役割を担った航空機が配備されています。

その一つが「救難隊」の保有する航空機です。

(新田原救難隊パイロット 尾形航大さん)
「戦闘機が、もし、パイロットが何かしらの不具合であったり、事故等で脱出した場合に、そのパイロットを探して救助するのが我々の第一任務です。その技術を生かして、国内で大きな災害があった際に、孤立している方だったり、被害状況の把握のために任務に飛ぶことがあります」

新田原救難隊は九州南部から四国全域までが管轄となっていて、今年4月、愛媛県で震度6弱の地震が発生した際にもすぐさま隊員たちが出動しました。

(新田原救難隊パイロット 尾形航大さん)
「(愛媛の地震の時は)夜中だったが、発災から約1時間ほどでこちらの航空機を使って、実際に被害情報の収集にあたっています」

こちらは主に捜索を担う救難捜索機U125A。
パイロットや救難員、それに、レーダーなどを操作する機上無線員も搭乗します。

(新田原救難隊パイロット 尾形航大さん)
「この航空機はビジネスジェットとしていう原型だったので、一部、旅客機と変わらないような座席になっている。基本的に探すものについては、一式そろっている航空機になっている仕様」

いつでもレディな状態で人を助ける

一方、こちらは救難捜索機と連携して救助活動を行う救難ヘリコプターUH60J。
救助者を見つけやすいよう特徴的な窓が取り付けられています。

(新田原救難隊救難員 新藤翔也さん)
「バブルウィンドウと言いまして、真下まで見て捜索できるので、絶対に探します」

また、ヘリコプターには様々な機材が。

救難員は、救助する場所や、要救助者の状態によって機材を使い分けていて、ヘリコプターまで救助者を運ぶ道具だけでも5種類あります。

(新田原救難隊救難員 新藤翔也さん)
「木が生い茂っている中に直接いれても引っかからないという特性があるので、その場合に重さを利用してピンポイントに救難員に届けることができる機材」

また、こちらのリュックには予備も含めて2つのパラシュートが入っていてその重さはなんと23キロです。

(垣内沙耶記者:リュックを担いでみて)
「おー!すごい!重い!!」

(新田原救難隊救難員 新藤翔也さん)
「いつ何があるか分からない仕事なので、体調面も含め、いつでもレディな状態で人を助ける、パイロットを助けるという意識で訓練には臨んでいる」

緊迫度を増す国際情勢 新田原基地は国防の最前線

様々な航空機が配備され日々、隊員たちが訓練に励む新田原基地。
この春、そのトップの基地司令として、大嶋善勝空将補が着任しました。

(新田原基地司令 大嶋善勝空将補)
「地域の皆様と地域の皆様の理解を得つつ、隊員の協力を得て、隊員とともに、真に精強な部隊を作る。そして国民の負託に応える。それが私の意気込みというか抱負であります」

国は、将来的に、新田原基地へ最新鋭のステルス戦闘機F35Bの飛行隊あわせて40機程度を配備する方針で、今年度中に6機が配備される計画となっています。

(新田原基地司令 大嶋善勝空将補)
「技術の革新であったり、安全保障環境の変化と、これに伴ってF15をF35に機種更新するということなりますので、基本的に新田原基地が負う任務、役割というのは変わらないというふうには考えています」

北朝鮮のミサイル発射や中国の海洋進出、そして台湾有事など緊迫度を増す国際情勢。

日本を取り巻く環境が日に日に変わっていく中、新田原基地は国防の最前線を担っています。

(新田原基地司令 大嶋善勝空将補)
「台湾有事でいかなる役割をという話になりますと、答える立場にはありませんので、ただ、我々としては、いつ、いかなる任務が振られたとしても、迅速かつ的確に対応する」

※MRTテレビ「Check!」6月26日(水)放送分から

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