今春引退したテニスの元女王ムグルサがツアー最終戦のディレクターに就任!「偉大なスポーツの未来に貢献でき光栄」<SMASH>

今春現役を引退した女子テニスの元世界1位ガルビネ・ムグルサ氏(スペイン/30歳)が、今年11月にサウジアラビア・リヤドで開催される女子ツアー最終戦「WTAファイナルズ」(11月2日~9日/ハードコート)のトーナメントディレクター(以下TD)に就任することが明らかになった。WTA(女子テニス協会)公式サイトが報じている。

現役時代には最高峰の四大大会で2度の優勝を含む計10個のツアータイトルを獲得するなど女子テニス界を牽引してきたムグルサ氏。だが22年末からスランプに陥り、23年1月のリヨン大会を最後に戦線離脱。今年4月に惜しまれながら輝かしいキャリアに幕を閉じた。

引退からまだ間もない中、元女王に最終戦TDという大きな仕事が舞い込んできた。自身も21年に優勝を経験した同大会は、今年から26年までの3年間サウジアラビアで開催される。ムグルサ氏はその監督役に就くことへの喜びを、WTAサイトで次のように語っている。

「WTAファイナルズ・リヤドのトーナメントディレクターとして、この偉大なスポーツの未来に貢献できることを大変光栄に思います。この大会がトップ選手たちにとってどれほど特別なものであるかはわかっていますし、世界中のコミュニティに刺激を与えられる可能性も見てきました。素晴らしい運営チームと共に、女子テニスの魅力を伝えながら競技を成長させるだけでなく、全てのファン、特に少女や女性が夢を追いかけることを奨励できる立場にいられることをうれしく思います」
今後ムグルサ氏は100万人の国民にテニスの魅力を伝えるという目標を掲げているサウジアラビア・テニス連盟および同国のスポーツ省と協力する形で、WTAファイナルズの発展に向けた戦略計画を監督するという。加えて中東全域の若者にテニスと健康的なライフスタイルを広める活動にも取り組むとされる。

WTAの会長兼CEO(最高経営責任者)を務めるスティーブ・サイモン氏は、ムグルサ氏に向けて以下のように歓迎と期待の言葉を送った。

「ガルビネは、(テニスという)スポーツがあらゆる階層の人々に変化をもたらす力を持っていることを理解している世界的なロールモデルです。彼女は、WTAが設立から掲げる価値観である“参加”と“包括性”という幅広い理念に献身しながらも、選手たちの利益を最優先してくれると確信しています。彼女はコート内外で真のチャンピオンであり、我々がこれからスリリングなWTAファイナルズになっていくと信じる中で、その重要な役割にふさわしい人物だと思います」

周知の通りサウジアラビアはスポーツを利用して過去の人権問題や女性差別といった不都合な事実を洗い流そうとする“スポーツウォッシング”が問題視されており、WTAファイナルズの開催も多くの批判を浴びてきた。それ故にムグルサ氏の手腕が試されるところだ。

文●中村光佑

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