「この世界では、絶対にやっちゃいけない」 横峯さくらが気づいたスイッチ

いまはちゃんと「戦えている」(撮影/和田慎太郎)

◇国内女子◇資生堂レディスオープン 初日(27日)◇戸塚CC西コース(神奈川)◇6697yd(パー72)◇晴れ

横峯さくらがボギーなしの3バーディ「69」で発進した。初日を1ケタ台の順位で終えたのは今季初だ。「きょうは5アンダーを目指して3アンダー。あしたも5アンダーを目標に」と意気込んだ。

母になって3年、“ママ”と“ゴルファー”のスイッチを上手に切り替えられるようになったのは、つい最近のことだった。3歳の息子を連れての転戦は、「大事な時間を一緒に過ごしたい」と夫でキャディを務める森川陽太郎氏さんと決めたこと。

後半は「耐えて、耐えて」(撮影/和田慎太郎)

会場にある託児所などに息子を預け、スタート直前まで顔が見られるのはうれしいが、ついコースの中まで“ママ”の顔を引きずってしまう。「“まあ良いか、しょうがない”っていう言葉が増えた。それって、このシビアな世界では絶対にやっちゃいけないこと」。夫から「戦えていない」と言われるまで、心のゆるみに気づかないことも多かった。

反対に、調子が悪ければコースを出ても頭の中はゴルフでいっぱい。切り替えがうまくできるようになったのは3試合前の「宮里藍サントリーレディス」(44位)からで、ゴルフの調子が安定したこともあり、同大会で11試合ぶりに予選通過を果たした。「ゴルフ場からホテルに、ゴルフを持ち込まなくなったのはすごく大きい」とメリハリをつけられるようになったことで、コース内での集中力も増した。

子どもを連れての転戦は夫婦での決めごと(撮影/和田慎太郎)

この日も後半はパーオンを外す場面も多かったが、微妙な距離のパーパットを決めてボギーなしで乗り切った。2試合前の「ニチレイレディス」で行われた1回目のリランキングは、37位で後半戦の出場権を獲得。「試合に出られるのはうれしいけど、そこを目指しているわけではないので。もっと上を目指して、シードを獲りたい」と、甘えた言葉はもう口に出さない。(横浜市旭区/谷口愛純)

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