7年ぶりにラリー・ポーランドがWRCに復帰、勝敗を分けるポイントは?【WRC第7戦開幕プレビュー】

2024年6月27日から6月30日(現地時間)、世界ラリー選手権(WRC)第7戦ラリー・ポーランドが北東部マズールィ地方のミコワイキを起点としたグラベル(未舗装路)ステージを舞台に開催される。全13戦で行われる2024年のWRCは、ラリー・ポーランドでシーズンの折り返しを迎える。

トヨタとヒョンデがそれぞれ3勝、ドライバーズタイトル争いは混戦模様

シーズンはここまでトヨタとヒョンデがそれぞれ3勝をあげて互角の戦いを見せているが、ドライバーズタイトル争いは混戦模様となっている。

ラリー・ポーランドに、エルフィン・エバンス、セバスチャン・オジェ、勝田貴元の3台で挑むトヨタ。

セバスチャン・オジェ(トヨタ)が2勝をあげているが、限定参戦のためランキングは4位。チャンピオン争いは、ティエリー・ヌーヴィル(ヒョンデ)、オイット・タナック、エルフィン・エバンス(トヨタ)に絞られているが、ここから誰が抜け出すのか注目が集まる。

【参考】2024年 WRC第6戦ラリー・イタリア・サルディーニャ 結果

1位:O.タナック (ヒョンデ i20N ラリー1)3h06m05.6s
2位:S.オジェ(トヨタ GRヤリス ラリー1)+0.2s
3位:D.ソルド(ヒョンデ i20N ラリー1)+2m25.8s
4位:E.エバンス(トヨタ GRヤリス ラリー1)+2m37.8s
5位:G.ミュンスター(フォード・プーマ ラリー1)+6m42.9s
6位: S.パエリ(トヨタ GRヤリス ラリー2)+7m13.4s
7位:Y.ロッセル(トロエン C3 ラリー2)+7m45.7s
8位:J.ソラン (トヨタ GRヤリス ラリー2) +7m52.7s
9位:M.プロコップ(シュコダ・ファビアRS ラリー2) +10m05.4s
10位:K.カエタノビッチ(シュコダ・ファビアRS ラリー2)+10m09.3s
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35位:勝田貴元(トヨタ GRヤリス ラリー1)+41m28.1s

【参考】2024年 WRCマニュファクチャラーズズランキング(第6戦終了時)

1位 ヒョンデ 269
2位 トヨタ 256
3位 Mスポーツ・フォード 131

【参考】2024年 WRCドライバーズランキング(第6戦終了時)

1位 T.ヌーヴィル(ヒョンデ)122
2位 O.タナック(ヒョンデ)104
2位 E.エバンス(トヨタ)104
4位 S.オジェ(トヨタ)92
5位 A.フルモー(Mスポーツ・フォード)74
6位 勝田貴元(トヨタ)52
7位 K.ロバンペラ(トヨタ)36
8位D.ソルド(ヒョンデ))27

ヒョンデは、ティエリー・ヌーヴィル、オイット・タナックに加え、アンドレアス・ミケルセンがワークスエントリー。

1921年に初めて開催された非常に長い歴史を持つラリー

ラリー・ポーランドは1921年に初めて開催された非常に長い歴史を持つラリーだが、1973年のWRC初年度にシリーズの一戦として組み込まれ、2009年、2014年から2017年にかけての4年間開催された後、しばらくWRCのカレンダーから消えており、WRCとしては7年ぶりの開催となる。

ラリー・ポーランドはラリー・フィンランドに似た高速ラリーと言われるが、、柔らかく砂も多いなど路面やキャラクターは少し異なる。

ラリーのステージはポーランド北東部マズールイ湖水地方のリゾートタウンである「ミコワイキ」周辺の森林地帯や丘陵地帯のグラベルに設けられる。「ミコワイキ」周辺は美しい自然に囲まれ、ステージは全体的に非常にハイスピードなことが特徴となる。

そのキャラクターはラリー・フィンランドに似ているが、ポーランドの路面はフィンランドよりも軟らかいところが多く、同じステージを2回目に走行する際は深い轍ができることもある。

またポーランドのような高速ラリーではエアロダイナミクスが非常に重要となる一方で、道幅が狭いセクションもあるので注意が必要だ。

現地27日19時過ぎからのスーパーSSで競技はスタート

ラリーは6月27日(木)の夕方にセレモニアルスタートが行われ、19時過ぎからサービスパーク「ミコワイキ」のすぐ近くでスーパーSSで競技は開始される。

ラリー・ポーランドのステージマップ。ミコワイキ周辺のステージで行われる最終日がポイントとなりそうだ。

本格的な戦いは28日(金)の朝から始まり、デイ2として3本のステージを「タイヤフィッティングゾーン」での簡易的な整備作業を挟んで各2回走行。一日の最後にはSS1と同じコースでスーパーSSが行われる。

29日(土)のデイ3は、3本のステージをミコワイキでのスーパーSSとミッドデイサービスを挟んで各2回走行。7本のステージの合計距離は124.10kmと、4日間で最長の一日になる。

最終日30日(日)のデイ4は、2本のステージを各2回走行。そのうち、SS17の再走ステージとなるSS19「ミコワイキ2」は、トップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーに、ボーナスの選手権ポイントが与えられる「パワーステージ」に指定されている。

19本のステージの合計距離は303.16km、リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は1375.64kmが予定されている。

なおラリー・ポーランドに、トヨタはエバンス、オジェ、勝田貴元の3台がワークスエントリー。一方のヒョンデは、ヌーヴィル、タナックに加え、高速グラベルを得意とするアンドレアス・ミケルセンで挑む。

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