もうダメだな…日本の「13歳~29歳」の若者が抱く「底知れぬ絶望感」の正体

(※写真はイメージです/PIXTA)

政府が2013年から5年ごとに続けている、日本と欧米の若者を対象に行った意識調査。5年ぶりの結果が公表されました。昨今の日本の若者の心の中をのぞいてみると、日本が抱える諸問題が浮き彫りになってきました。

日本の「13歳~29歳」が抱く「悩みや心配」とは?

こども家庭庁が公表した『我が国と諸外国のこどもと若者の意識に関する調査』。2013年から5年ごとに行われているもので、今回の調査では日本のほか、アメリカ、フランス、ドイツ、スウェーデン4ヵ国の13歳から29歳の人を対象に行われてました。

昨今の若者のさまざまな考え方、その傾向が分かる調査ですが、まず注目は「現在の悩みや心配ごとの有無」。「心配」(「心配」と「どちらかといえば心配」の合計)と答えた割合は、「自分の将来のこと」が最も多く76.4%。「お金のこと」72.2%、「進学のこと」69.1%と続きます。一方で「心配していない」(「どちらかといえば心配ではない」と「心配していない」の合計)と答えた割合が最も多かったのは「友人や仲間のこと」で64.8%。「家族のこと」56.3%、「恋愛のこと」52.4%と続きました(下記図表)。

出所:こども家庭庁『我が国と諸外国のこどもと若者の意識に関する調査(令和5年度)』より

諸外国との比較では、よく日本人は諸外国と比べて自己肯定感が低いなどと論じられますが、今回の調査でもそんな傾向が浮き彫りになっています。

Q.あなたは全体として現在の生活にどの程度満足していますか。

(10点満点評価の平均点)

日本:5.97点

アメリカ:6.23点

ドイツ:6.99点

フランス:6.09点

スウェーデン:6.59点

Q.全体として、あなたが人生で行っていることにどのくらい価値があると感じますか。

(10点満点評価の平均点)

日本:5.79点

アメリカ:6.37点

ドイツ:6.77点

フランス:6.39点

スウェーデン:6.71点

Q.次のことがらがあなた自身にどのくらいあてはまりますか。

※「今の自分が好きだ」(5段階評価、「そう思う」の割合)

日本:53.4%

アメリカ:71.5%

ドイツ:75.5%

フランス:72.4%

スウェーデン:71.8%

日本の若者…「40歳の自分は幸せで健康」でも、「国の将来」は絶望視

さらに大人が注目したい結果が、将来像。「あなたが40歳くらいになったとき、どのようになっていると思いますか。」の問いに対して、「そう思う」(「そう思う」と「どちらかといえばそう思う」の合計)と答えた割合で最も多かったのが「親(保護者)を大切にしている」で73.2%。「幸せになっている」68.2%、「健康である」68.0%と続きました。

意外と幸せな未来を想像しているかと思いきや、国の将来に対してはシビアな見方をしています。

Q. 自国の将来は明るいと思いますか。

「明るい」(「明るい」「どちらかといえば明るい」の合計)は23.1%で、前回調査から8ポイントほどダウン。また「ドイツ」61.8%、「スウェーデン」61.1%、「フランス」55.3%、「アメリカ」49.2%と比較しても、突出して日本の若者は国の将来に対して絶望視していることが分かります。

この結果に限らず、日本の若者が漠然と、それでいて底知れぬ絶望感を抱いているのは、その原因のひとつは、冒頭「悩みや心配ごと」でもあげられた「お金のこと」であるのは明らか。

厚生労働省の調査によると、サラリーマン(平均年齢43.6歳)の平均給与は月収で36.3万円、年収で596.9万円。失われた30年といわれている間、給与はいっこうに上がらず。昨今は給与アップという話も出ていますが、いまのところ、物価高を上回ることができず、実質給与減が続いています。

老後の生活のベースとなる年金は、厚生年金受給者の平均額が併給の国民年金含め月14.5万円ほど。65歳以上男性に限ると、月17万円ほどです。ただ、2019年に行われた財政検証では2040年代に2割目減りは確実。また先日発表となった出生率から、想定よりも10年近くも早く少子化が進んでいることが明らかになりました。現役世代の減少は、それだけ高齢者を支える年金財政が厳しくなることを意味します。今年は、5年に1度の財政検証の年ですが、将来の年金に関してはさらに厳しい予測になるだろうといわれています。

このような状況のなか、日本の若者が国の未来に絶望するのも当然のことかもしれません。唯一の救いは、昨今、早くから自助努力だ、資産形成だといわれているため、自身の将来は自身でどうにかしようという意識の若者が増えていること。

――最近の若者は、なんとも頼もしい

大人たちはそう思いながらも、絶望感を抱かせているのは大人たちの責任という一面も。「国の将来は明るい!」と思える若者が増えるよう、大人たちも踏ん張り時です。

[参照]

こども家庭庁『我が国と諸外国のこどもと若者の意識に関する調査(令和5年度)』

厚生労働省『令和5年 賃金構造基本統計調査』

厚生労働省『令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』

厚生労働省『2019(令和元)年財政検証結果レポート』

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