“新人HC”のレディックは就任1年目からレイカーズを浮上させられるか?【元NBA選手のHC初年度の成績】<DUNKSHOOT>

6月24日(日本時間25日)、ロサンゼルス・レイカーズは新HC(ヘッドコーチ)にJJ・レディックが就任することを発表した。

現役時代はピュアシューターとして鳴らしたレディックは、2021年の引退後は『ESPN』のアナリストとなり、今年のNBAファイナルでも解説を務めた。大黒柱のレブロン・ジェームズと同い年の39歳は、20年を最後に優勝から遠ざかっているチームを再び頂点に導くことが期待されている。

NBAのコーチ経験を持たない新人HCのレディックはどのようなチームを作るのか、また初年度から成功を収めることができるのか。ここでは2010年以降の元NBA選手のHC1年目の成績を結果別にまとめた。

■元NBA選手のHC1年目の成績(2010年~)*シーズン途中就任&解任は除く。年齢はHC就任時、チーム名は略称

●プレーオフ不出場
マーク・ジャクソン(46歳:ウォリアーズ)2011-12:23勝43敗
ジャック・ヴォーン(37歳:マジック)2012-13:20勝62敗
ブライアン・ショウ(47歳:ナゲッツ)2013-14:36勝46敗
ジェフ・ホーナセック(50歳:サンズ)2013-14:48勝34敗
デレック・フィッシャー(39歳:ニックス)2014-15:17勝65敗
フレッド・ホイバーグ(42歳:ブルズ)2015-16:42勝40敗
ルーク・ウォルトン(36歳:レイカーズ)2016-17:26勝56敗
チャンシー・ビラップス(44歳:ブレイザーズ)2021-22:27勝55敗
現役時代、チームメイトからの信頼が厚くリーダーシップに定評のあったフィッシャーは、当時ニックスの球団社長を務めていた恩師フィル・ジャクソンから声を掛けられ、引退後すぐに名門のHCに抜擢された。しかしカーメロ・アンソニー、アンドレ・バルニャーニら主力がケガに見舞われ、球団ワーストとなる15勝67敗と惨敗。翌シーズンの途中に成績不振で解任された。

選手としてファイナルに出場経験のあるホーナセックは、わずか1勝及ばずプレーオフは逃したが、苦戦必至と思われたサンズを見事にまとめ48勝をあげる健闘を見せた。ただ、翌年以降は成績を落とし、3年目の途中でクビを切られた。

ウォルトンとショウは現役時代に名将フィル・ジャクソンHCの下でプレー、ヴォーンはスパーズでグレッグ・ポポビッチHCの指導を受け、引退後は彼のアシスタントを務めた。その経歴から就任時の期待値は高かったが、ウォルトンは3年、ショウは2年目の途中、ヴォーンは3年目の途中に解任。その後ウォルトンはキングス、ヴォーンはネッツで2度目のチャンスを与えられたものの、目立った成績は残せなかった。

●プレーオフ出場
ラリー・ドリュ―(52歳:ホークス)2010-11:44勝38敗/カンファレンス準決勝敗退
モンティ・ウィリアムズ(38歳:ホーネッツ/現ペリカンズ)2010-11:46勝36敗/1回戦敗退
ジェイソン・キッド(40歳:ネッツ)2013-14:44勝38敗/カンファレンス準決勝敗退
ビリー・ドノバン(49歳:サンダー)2015-16:55勝27敗/カンファレンス決勝敗退
スティーブ・ナッシュ(46歳:ネッツ)2020-21:48勝24敗/カンファレンス準決勝敗退
ウィリー・グリーン(39歳:ペリカンズ)2021-22:36勝46敗/1回戦敗退
イーメイ・ユドカ(43歳:セルティックス)2021-22:51勝31敗/ファイナル敗退
ダービン・ハム(48歳:レイカーズ)2022-23:43勝39敗/カンファレンス決勝敗退

元MVPのナッシュは20年にネッツと4年契約を締結。初年度はケビン・デュラント、カイリー・アービング、シーズン途中加入のジェームズ・ハーデンのビッグ3でカンファレンス決勝まであと1勝に迫った。しかし2年目はハーデン放出で1回戦負けに終わると、3年目の開幕直後に解雇された。

今季マブズを13年ぶりのファイナル進出に導いたキッドは、現役引退後すぐに古巣ネッツのHCに就任。プレーオフ進出こそ果たしたものの、ジョー・ジョンソン、ポール・ピアース、デロン・ウィリアムズ、ブルック・ロペス、ケビン・ガーネットという豪華メンバーを考えると物足りない結果と言える。ユドカは1年目からファイナルまで勝ち進むも、女性スタッフとの不適切な関係がスクープされ1年で退団している。

●優勝
スティーブ・カー(48歳:ウォリアーズ)2014-15:67勝15敗

マーク・ジャクソンの後任として迎えられたカーは、ステフィン・カリーとクレイ・トンプソンの“スプラッシュ・ブラザーズ”、ドレイモンド・グリーンのビッグ3を中心に初年度から圧倒的な強さで頂点に。その後も3度のリーグ制覇を達成するなどリーグ屈指の名将となり、現在に至るまでチームで指揮を執り続けている。

再建中のチームではある程度の猶予が与えられるが、昨季バックスが就任したばかりのエイドリアン・グリフィンをシーズン途中に解任したように、タレントが揃ったチームは成績が振るわなかったり、ケミストリーに問題を抱えていた場合は、真っ先にコーチがその責任を取らされる。

レブロン率いるレイカーズは常に勝利が期待される球団だけに、レディックには前任のハムが1年目に残したカンファレンス決勝進出が、ひとつの指標になるかもしれない。

構成●ダンクシュート編集部

© 日本スポーツ企画出版社