「人間が丸ごと数十メートル飛ばされる」富士山の山頂特有の危険性 3遺体発見の遭難事故で1人の身元判明

富士山の山頂火口で登山客とみられる3人が遺体で見つかった遭難事故で、3人は別のグループとみられることが分かりました。なぜ山頂で遭難が起きるのか、富士山をよく知る関係者は現場特有の危険性を指摘します。

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静岡県警の山岳救助隊が捜索していたのは東京都日野市の53歳の男性会社員で、2024年6月21日に家族に「富士登山に行く」と告げて出掛けたまま行方不明となっていました。

そして6月26日、山頂の火口の中で登山客とみられる3人の遺体を発見。26日のうちに1人の遺体を引き上げました。

<伊部桜輔カメラマン>
「26日午後8時すぎです。身元の確認などをおこなうために、遺体を乗せた車が御殿場警察署に到着しました」

収容された遺体は、行方不明となっていた、東京都日野市の男性会社員(53)と判明しました。

身元が判明した男性会社員は死亡して数日とみられるのに対し、ほかの2人は死後1か月以上が経過していて、警察は3人は別のグループとみています。また、現場にはショートスキーが残っていたということです。

山小屋の男性は、発見された男性会社員を知る人から話を聞いていました。

<五合目東富士山荘 米山千晴代表>
「ショートスキーを持って行っているのではないかと。火口を何回か滑ったことがあると、以前に。45度以上の斜面ですからよっぽど腕の良い方とかそういう方。めったに火口でスキーされる方はいらっしゃらない」

また、山頂ならではの危険性があると話します。

<五合目東富士山荘 米山千晴代表>
「(男性が登った日は)朝からすごい風だった山頂では非常に猛烈な風が吹いていたのではないか。私の意見だが、男性は瞬間的に40m~50mの風で飛ばされたのではないか」

<富士山の関係者>
「(富士山は)下界にいるときの風とは想像がつかないような風がいきなり吹く。人間が丸ごと数十m飛ばされることはある」

警察は残る2人の遺体の搬出を進め身元の特定を急ぐ方針ですが、28日は天候が悪いため活動を予定していないということです。

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