陸上界21歳新星が異例ハードル2種目で五輪へ 400mH全体トップ通過の豊田兼「周りは見ていない」【日本選手権】

日本選手権初日、男子400メートル障害予選に出場した豊田兼【写真:奥井隆史】

陸上日本選手権

今夏のパリ五輪代表選考会を兼ねた陸上・トラック&フィールド種目の日本選手権初日が27日、新潟・デンカビッグスワンスタジアムで行われた。男子400メートル障害予選では、21歳・豊田兼(慶大4年)が48秒62の組1着、全体トップで決勝進出。110メートル障害との2種目五輪内定へ好発進した。

初優勝へ快走した。豊田は序盤を抑えながら後半勝負にもっていく自分のレースを展開。快調にトップを走り、組2着に0秒4差をつけるトップでフィニッシュした。レース後は息を切らしながら「めちゃくちゃ緊張した」と苦笑い。それでも予選唯一の48秒台で地力の違いを見せ、「自分のレーンだけを見て、周りは見ていない。少し緊張がほぐれた」と汗を拭った。

東京の名門進学校・桐朋出身。フランス人の父を持ち、195センチの長身を誇る逸材だ。昨年8月のワールドユニバーシティゲームズ(中国)110メートル障害で優勝し、10月には400メートル障害のパリ五輪参加標準記録48秒70を突破。今年5月のセイコーゴールデングランプリ(GGP)では、48秒36の自己ベストで制した。今大会優勝なら代表に即時内定する。

高い負荷で故障のリスクがあり、距離に差があるハードル2種目をトップレベルで戦うのは異例。セイコーGGPまでは左太もも裏に違和感があったが、故障が癒えて以降1か月は試合に出ず、両種目を均等に練習した。この日のレース後は「練習できた甲斐もあって走れている。成果が出ていますね。セイコーGGPより余力を残して走れたので成長を感じた」と手応えを口にした。

110メートル障害の自己ベストは13秒29。同種目の代表内定済みで13秒04の日本記録を持つ泉谷駿介(住友電工)は出場を見送った。豊田は参加標準記録13秒27を切って優勝すれば内定する。28日に400メートル障害決勝、29日に110メートル障害予選と準決勝、30日に同決勝とタフな日程だ。

父の母国で開催される夢舞台へ「このまま怪我なく優勝して、110メートル障害のタイムを狙いたい。3日目、4日目があるけど、まずは明日勝たないといけない」と気を引き締めた。

THE ANSWER編集部

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