「時間がない」が口癖だった私を変えた。満足度がアップして充実した毎日が送れる“じぶん時間割”との出会い

仕事、家事、子育て、趣味の時間など、すべてを大切にしたいけど、忙しくて時間に追われる毎日。まんが家の川瀬はるさんもその一人でした。そんな川瀬さんが、「疲弊せずに毎日を楽しみながら仕事のパフォーマンスをアップするタイムコーディネート術」を考案した吉武麻子さんの指南を受け、“じぶん時間”を作るまでをつづった内容が今年4月、コミックエッセイに。発売後「使える時間が増えた!」と話題になりました。

今回は川瀬はるさんに、「タイムコーディネート」との出会いや、現在の仕事、子育てのやりくりなどについて聞きました。

小さいころからイラストを描くのが好き。コミックエッセイを描き始めたのは出産後

――川瀬さんがまんが家になった経緯を教えてください。

川瀬さん(以下敬称略) 子どものころから、手紙の隅にイラストを添えたり、‟プリクラ”に落書きをしたりすると友だちが喜んでくれるのがうれしくて、たまに絵を描いていました。

30代半ばに出産後、元KADOKAWA編集者の松田紀子さんが「コミックエッセイ描き方講座」を始められると知り、1期生として受講することに。そこで描いた作品がデビュー作となり、現在3年目です。

――妊娠・出産で思い出に残っているエピソードがありましたら教えてください。

川瀬 すでに出産を経験していた友だちに妊娠を伝えたとき、「ネットでいろんな情報を見すぎると不安になることもあるから、あまり調べすぎないほうがいいよ」と言ってくれて、それが心に残っていました。

実際、妊娠中は、根拠があいまいな情報で不安になることも多かったので、『たまごクラブ』などの専門雑誌や本は読みつつも、なるべくSNSを見過ぎないようにしていたんです。不安なことがあれば、病院で質問して解決するようにしていました。今となっては、その友だちの言葉がとてもありがたかったです。

――新生児育児はいかがでしたか? この時期は睡眠時間がなくて大変なママが多いですが、「時間がない」と思われたことはありましたか?

川瀬 もちろん、ありました。もう“ずっと思っていた”と言ってもいいかもしれません。私は一人で過ごす時間がたくさん必要なタイプだったので、「一人でしっかり眠る時間」「一人になって心を休める時間」を心から求めていましたね。私もまだ自分の育児でてんてこまいですが、そんな状況のママがいたら助けに行きたいくらいです。

――赤ちゃんの育児が落ち着いてきたと思ったのはいつごろですか? また、そう実感したエピソードがありましたら教えてください。

川瀬 人によるので、あくまでも私の場合ですが、イヤイヤ期が終わった3歳半くらいからでしょうか。それまでは体力的にも精神的にもしんどくて「子育て/いつ楽になる」等でよく検索していました。でもいつからか、子どもの成長とともに自然と検索もしなくなりました。

子どもを保育園に預け仕事を再開、そして「タイムコーディネート術」との出会い

――育児をしながら、仕事を再開しようと思ったきっかけは?

川瀬 デビュー作の出版が決まりそうなタイミングで保育園を探しました。幸いすぐに見つかって、子どもが1歳4カ月のときに入園して、預かってもらっている間に原稿を描きました。16時にお迎えに行っていたので、仕事時間は6時間前後でしたね。

――「時間がない」が口癖になったのはいつごろで、どんなことが大変でしたか。

川瀬 育児と仕事が同時に始まったころから「時間がない」が口癖になりました(笑)。保育園の存在には本当に助けられていたのですが、子どもがよく発熱したので、実際に日中に働ける時間が少なくなりがちで…。預けた1時間後に連絡が来たときはさすがにどうしようかと思いましたね。

――川瀬さんと「タイムコーディネート術」の出会いについて教えてください。

川瀬 編集者さんに教えてもらい、タイムコーディネートを知りました。今回の本の監修者であり、タイムコーディネート考案者の吉武麻子さんは、先輩ママでもあるので、子育て中ならではの時間のなさにも共感してくださって、子育て中の時間の作り方について具体的に教えてくださいました。

――タイムコーディネート術で最も印象に残っていることはなんですか?

川瀬 タイムコーディネート術では自分に厳しくするのではなく「自分にやさしく」考える、と教わったことですね。自分の「心地よさ」を真ん中に置いて、自分が「どう生きたいか」を問いながら調整していく時間術だったので、「育児や仕事でバタバタしている自分でもできるかもしれない」「この生活を変えたい!」と思えました。

睡眠時間を削らなくても、自分のやりたいことはできる!

――タイムコーディネートの第1ステップが「睡眠時間の確保」というのが、少し意外でした。川瀬さんは最初にこの提案を聞いてどう思われましたか?

川瀬 私も、「自分がやりたいことをするには睡眠時間を削るしかない!」と思って夜ふかしをしていたので、最初は寝ることがもったいないような気がしていました。でも、実際には夜ふかしをしてもたいして作業が進んでいないことがわかりましたし、十分な睡眠時間をとってみると、心身の状態がよくなることも実感しました。今はスマートウォッチで睡眠時間を計測しながら、自分の心身の状態を数字でも確認しています!

――タイムコーディネートの第2ステップ「予定の管理」で、もっとも優先するべきは「緊急ではないが重要なこと」というのも目からウロコです。川瀬さんにとって「緊急ではないが重要なこと」はなんですか?

川瀬 今でいうと、「次の次に描きたい作品について考える時間を作る」ことです! このステップを学んだおかげで、時期的に差し迫っているわけではないけれど、確実に実行したいことについて意識できるようになりました。

時間はだれにでも平等にやってくる! 続かなくても何度でも仕切り直して

――本の中で、自分がいま何に時間を使いたいか見直して、それを「ブーム」と捉えるという考え方がありましたが、川瀬さんにとって、いまは「何ブーム」ですか?

川瀬 やはり仕事です。以前は、私が仕事ばかりするのは家庭に悪影響なのでは、という一人よがりな思い込みや罪悪感がありましたが、今は私が一生懸命取り組むことで、家庭内も循環する感じがしていますし、家族も応援してくれています。

ただ、仕事や育児があるからといって必ずしもそれがブームであるとは限らないので、その時々の自分の気持ちを大切にしていけたらと思っています。

――「ブーム」のためにやりたいことをやる時間を確保したあと、具体的にその時間を何に使ったのですか。

川瀬 私は「午前中は外出して仕事をする」という時間割にしたことで満足感がUPしました。「午前中の3時間でこれをやる」と決めて外に出ると、本当にはかどることが増えましたね。逆に家にこもったほうがはかどる仕事のときは、ヘッドフォンをして集中したりしています。でも一人でぼーっとするのも好きなので、その時間も意識して確保しています。

――時間割を決めても、やっぱりなかなか続かない…という人も多そうです。そのような人へアドバイスをお願いします。

川瀬 私も継続は苦手でしたし、何度も挫折しています。でも時間はだれにでも平等にやってくるので、何度でも仕切り直すことができると教わったことが、支えになっています。
私は「仕切り直したいな」と思ったら、タイムコーディネート手帳のインスタグラムの公式アカウントの投稿を読み、やる気を取り戻しています。インスタライブも定期的に開催されていて、監修の吉武さんや運営メンバーの方のお話も聞けるのでおすすめですよ!

time.coordinate Instagram

自分を大切にできると、自分が喜ぶ時間の使い方ができるように

――タイムコーディネート術と出会って、いちばんよかったと思うことは何ですか?

川瀬 たくさんありますが、いちばんは“自分への信頼”が増し、自分をより大切にしようと思えるようになったことでしょうか。以前はなにかと自分を責めることが多かったのですが、今は「できた」ことを意識するようになりました。小さな「自分との約束」の積み重ねで自分を信頼できるようになって、私という存在をより大切にしよう、そのためによりよい時間の使い方をしようと思うようになりました。

同時に、家族に対しても心地よい時間を過ごしてほしいと思うようになって、前向きな話し合いが増えたように思います。

――現在、子育てと仕事の間で「時間がない」が口癖になっているママへメッセージをお願いします。

川瀬 毎日おつかれさまです。ひとことで「子育て」といっても、保護者と子どもの個性や家族構成、どんな環境で働いているかによって悩みもさまざまだと思いますが、「時間がない」という思いは多くのママに共通しているのではないでしょうか。『やりたいことがどんどん叶う! じぶん時間割の作り方』は育児と仕事の両立で悩むママたちに寄り添える1冊になっていますので、もし気になったら、ぜひ読んでくださるとうれしいです!

取材・文/樋口由夏、たまひよONLINE編集部

“疲れる”ってことは“頑張ってる”ってこと、「洗濯物たたむのやーめた!」“やらなくていい家事”『最高ズボラ生活』のモチコさんにインタビュー

妊娠中や育児中は、どうしても“じぶん時間”を後回しにしてしまいがち。でもタイムコーディネート術を取り入れて、時間との向き合い方のコツを知り、少しずつ実行することで、忙しい妊婦さんもママも、やりたかったことができ、夢をかなえられるようになるかもしれませんね。

川瀬はる(かわせはる)さん

PROFILE
長野県出身。2021年『私をとり戻すまでのふしぎな3日間』(オーバーラップ)でデビュー。2024年4月『おはよう、しっぽ』(文藝春秋)発売。早起きが好き。

●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●記事の内容は2024年5月の情報であり、現在と異なる場合があります。

『やりたいことがどんどん叶う!じぶん時間割の作り方』

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