関東の私鉄運転士が新型やくもの出発合図 JR根雨駅で「一日駅員」 鳥取県日野町、ふるさと納税の返礼

特急やくも出発の際、指さしで安全を確認する矢中淳さん=鳥取県日野町根雨、JR根雨駅

 鳥取県日野町がJR西日本と連携し、ふるさと納税の返礼品として出品した「JR根雨駅一日駅員体験」が26日、同駅であった。応募者は町の魅力に触れ、特急やくもの出発合図などを体験した。

 日野町の玄関口、根雨駅で何かできないかと、JR西日本に提案したところ、今回の駅員体験が実現した。4月12日から5月15日まで先着順で受け付け、10万円の駅員体験に一人の応募があった。

 「一日駅員」に委嘱されたのは、東京都練馬区の会社員、矢中淳さん(49)。運転士になるのが小さい頃からの夢で、現在は関東の私鉄で運転士として勤務している。

 矢中さんは山陰への移住を検討していたところ、山陰中央新報デジタル(Sデジ)で駅員体験が出品されていることを知り、寄付を決めた。

 矢中さんは制服に身を包み、JR西日本山陰支社山陰地域振興本部地域プロモーション課の大東幸治課長から委嘱状を受け取ると、﨏田淳一町長を表敬訪問。その後、和田隆根雨駅長から駅舎について説明を受け、特急やくもの新型車両273系の出発合図を行った。

 切符販売や放送、観光列車「WEST EXPRESS(ウエスト・エクスプレス)銀河」の乗客へのおもてなしも体験した。

 矢中さんは2010年公開の映画「RAILWAYS(レイルウェイズ)」を見て、山陰の鉄道のファンになり、年6回のペースで島根県を訪れているという。「出発合図は23年ぶりで緊張したが、本格的な業務を体験できてうれしかった」と満足そうだった。

 企画した町企画政策課の生田翔平主任は「今後もJR側と連携しながら、鉄道を通じた町おこしを続けていきたい」と話した。

© 山陰中央新報社