INIと櫻坂46のシングル売上対決が接戦…ファンの「買い増し」バトルに疑問の声も

女性アイドルグループ「櫻坂46」と11人組ボーイズグループ「INI」が、シングル売上対決で激戦を繰り広げている。両グループとも初日売上でハーフミリオンを確定的にするなど、近年まれにみるハイレベルな1位争いとなり、双方のファンが追加購入に走っているようだ。

櫻坂46の9枚目のシングル「自業自得」とINIの6枚目のシングル「THE FRAME(LOUD)」の発売が6月26日に重なり、当初よりファンがざわついていた。両グループとも今までのシングルすべてでオリコンの週間ランキング1位を獲得しており、今回首位を逃したほうは連続1位記録が途切れるためだ。

前作で比較すると、櫻坂46の8thシングル「何歳の頃に戻りたいのか?」のオリコン初週売上は43.4万枚、INIの5thシングル「TAG ME(HANA_花)」は30.6万枚で、櫻坂46が優勢と見る向きがあった。しかし、INIファンたちは「打倒櫻坂」に燃え、SNS上では複数枚の購入を報告する声が相次いだ。さらに両グループとも豪華な購入特典をそろえ、売上バトルはヒートアップしていった。

そんな中、オリコンが「フラゲ日」となる25日付のデイリーシングルランキングを発表。結果は、櫻坂46の「自業自得」が売上51.5万枚で1位、INIの「THE FRAME(LOUD)」は46.5万枚で2位となった。ふつうなら5万枚の差は大きいが、双方とも初日からハーフミリオン級の売上となっており、INIが伸びて逆転する可能性は十分にある。

また、オリコンランキングではアーティスト参加型の販売施策イベントに関連した複数枚購入は「一度に3枚までしかカウントしない」というルールがある。そのルールの影響がないビルボードジャパンの集計では、櫻坂46の「自業自得」の初日売上は58万2,378枚、INIの「THE FRAME」は57万9,673枚でほとんど差がない。

大接戦となっているのは間違いなく、週間チャートの集計期間ギリギリまでファンの「買い増し」バトルが過熱しそうだ。実際、SNSでは「まだまだ櫻坂の初週1位目指して追い自業自得します!」「INIの2位悔しすぎなので追いFRAMEするよー!」などと、双方のファンの追加購入報告が相次いでいる。

その一方、こうした風潮を疑問視する以下のような声も目立っている。

「わざと人気グループ同士で発売日をぶつけて、ファンの購買意欲を煽っているようにみえる」
「競合した方が売上が上がるとなったら、今後は人気グループの同日発売が増えて、お金を使いすぎた未成年などが出てくれば社会問題になりかねない」
「同じCDを大量に買わせることを前提にした音楽ビジネスって、健全ではないね」
「ファンを消耗させるようなやり方は、アイドルたちも望んでいないのでは」

4月末には、韓国の13人組ボーイズグループ「SEVENTEEN」のアルバムが段ボールごと大量に渋谷の路上に置き捨てられ、特典目当てで購入したものを廃棄したのではと騒がれた。配信全盛の時代にCDを売ろうとすれば、ファンの複数枚買いを前提にしたビジネスモデルになるのは理解できなくもないが、不毛な印象は否めない。

それでもファンの「推しにランキング1位をプレゼントしたい」という思いは根強くあり、今後もアイドル業界を中心に「複数枚買い前提」の商法は続きそうだ。

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