「多様でありながら、ひとつ」大阪・関西万博 北欧5か国、”やさしさと丁寧な暮らし”アピール

大阪・関西万博に出展する海外パビリオンのうち、「北欧5か国」共同のパビリオンの建設が5月20日に始まった。5か国はアイスランド、スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、フィンランド。共同パビリオンは、独自にパビリオンを設計、建設する「タイプA」のカテゴリーに分類される。
約160か国・地域の参加が予定される大阪・関西万博で、「タイプA」パビリオンを希望するのは51か国。このうち32か国が着工済み。しかし11か国で建設業者が決まっておらず、8か国が未着工となっている(6月25日現在)。

【画像】北欧パビリオン、木のやさしさ~大阪・関西万博

建物の延べ床面積は1200平方メートル、高さ17メートルで3階建ての木造建築。2025年3月に完成を予定している。展示スペースやルーフトップのカフェでもてなし、ビジネスプロモーションやテーマごとのイベントを開催するためのホールやビジネスセンターも設置される。

6月25、26の両日、大阪・関西万博に参加する161の国・地域を対象にした「国際参加者会議(IPM / International Planning Meeting)」が奈良市で開催された。開幕まで300日を切り緊張感が高まる中、北欧各国の代表者はラジオ関西の取材に対し、「これまでにない自信」を語った。

北欧パビリオンを統括するチェアマン、マグナス・シェルツさんはスウェーデン在住。「ウクライナとロシアとの関係や、イスラエル・ガザ侵攻といった世界が分断されている中、5か国が支えあう意味を感じてほしい。それぞれの国は大きくないが、つながった場合の経済的規模は大きい。近隣諸国とも対等なマーケットを展開できる」と述べた。ドバイ万博(2021年10月~2022年3月)では、それぞれが個別にパビリオンを出展していた。その時から、それぞれの良さを補完し合えたらという構想はあった。今回、アピールする力は5倍に、という気概で大阪・関西万博に臨む。

「日本での万博の報道は、ネガティブなものが多いが、私たちは日本にシンパシー(親近感)があり、生活スタイルも似ている。それはなにか?『丁寧な暮らし』という点。几帳面で清潔なところが共通する。『やさしさ』もそう。日本の素晴らしさは、古き良き伝統を重んじながら、将来を見すえたテクノロジーの進化が著しいところ。我々北欧諸国はそこに学び、刺激を与えあう万博になれば」と期待を寄せた。

「北欧はサステナビリティ(持続可能性)を語るうえで、世界のリーダーだという自負がある。「北欧諸国は1960年代、パスポートなしで往来できたほど信頼関係が強い“共同体”だった。そうした背景から、根強い信頼関係がある。『多様でありながら、ひとつ』という大阪・関西万博の理念とも一致する。5か国として参加する意味はそこにある」と自信をのぞかせた。

構成国のひとつ、フィンランドは、毎年3月20日の「世界幸福デー」に合わせて発表される世界幸福度ランキングで、2024年まで7年連続トップに立つ。同国大使館商務部のニタ・ピルカマ コミッショナー・ジェネラルは、「開催までに間に合わせる自信はある。フィンランドとして日本の皆さんにどうアプローチするか、楽しみにしている。私たちフィンランドは“世界一幸せな国”としてランキングされている。ハピネス(Happiness)を日本に発信したい」と微笑む。

デンマークのスティネ・リリバーグ・グルドマン プロジェクト・ディレクターは、2005年愛知万博(愛・地球博)のパビリオン運営にも関わった。5かs国共同出展はそれ以来。「万博そのものに親近感をおぼえる。IPMでも、しっかりと準備をする日本の対応がありがたい。さまざまな疑問点にも真摯に答えてくれた」と満足気だった。

ノルウェーのフィン・クリスティアン・アアモド コミッショナー・ジェネラルは、「海外パビリオンの進捗は、国によって差が開いているようだが、どの国も(パビリオン完成後の運営面で)同じような課題を抱えていることがわかった。それでも北欧として、開幕まで万全に臨めることを確信している」と抱負を語った。

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