課長に昇進しても生活はカツカツ…子どもの学費も圧迫で家計やりくりに苦悩

【一覧表】課長、部長など役職別の賃金はいくらか

2023年の合計特殊出生率は1.20%と、統計開始以来、最低を記録しました。

少子化の原因の1つとして、子どもの学費が高額になったこともあげられるでしょう。

子育て世代の人の中には、「教育費はいくらかかるの?」「課長に昇進すれば教育費は大丈夫?」などの疑問を持つ人もいるでしょう。

この記事では、子供の学費について解説します。

記事の後半では役職者の平均給与についても紹介しますので、教育費の資金計画を考えるときの参考にしてください。

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平均的な子どもの教育費

子供の教育費は進路によって大きく異なりますが、ここでは平均的な教育費について確認しましょう。

幼稚園から高校にかかる学費一覧

文部科学省の「令和3年度子供の学習費調査」によると、幼稚園から高校までの1年当たりの学費は次の通りです。

学費の内訳は、学校教育費と給食費、学校外活動費(習い事や塾代など)です。

1年あたりの学費
  • 幼稚園:公立16万5126円・私立30万8909円
  • 小学校:公立35万2566円・私立166万6949円
  • 中学校:公立53万8799円・私立143万6353円
  • 高校:公立51万2971円・私立105万4444円

小学校以上では、私立に行くと月10万円前後の学費がかかることになります。

公立の平均的な学費は私立の半分程度ですが、学習塾によっては月10万円程度の負担(夏期講習などを含む)になることもあります。

大学の学費と生活費

大学の学費と生活費

日本学生支援機構の「令和4年度学生生活調査結果」によると、大学生の学費と生活費の合計額は次の通りです。

生活費には、下宿する大学生の住居費や食費なども含まれます。

大学生の学費と生活費
  • 国立大学:146万500円
  • 公立大学:133万6400円
  • 私立大学:193万9600円
  • 平均:182万4700円

大学生の学費や生活費を親が全額負担すると、平均で月15万円以上のお金がかかることになります。

子どもが私立大学に行ったり下宿する場合は、より多くの費用がかかります。

また、理系の学部や医学部などは平均より授業料が高いのが一般的です。

奨学金を利用したり、子どもがアルバイトで費用の一部を補ったりすることで親の負担は軽減されますが、家計に大きな影響を与えることになるでしょう。

子どもの進学とともに親の学費負担は大きくなり、住宅ローンの支払いなども考えると、できるだけ収入を増やしたいと考える人も多いでしょう。

次章では、課長など役職者になることでどれだけの収入アップが期待できるかについて紹介します。

課長になれば学費分は昇給できるのか

厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、役職別の賃金は次の通りです。

役職別の賃金

男性の役職別賃金

  • 部長:60万4100円
  • 課長:50万700円
  • 係長:38万2300円
  • 非役職者:31万1900円

女性の役職別賃金

  • 部長:52万1000円
  • 課長:43万800円
  • 係長:33万5900円
  • 非役職者:26万300円

男女計の役職別賃金

  • 部長:59万6000円
  • 課長:49万800円
  • 係長:37万800円
  • 非役職者:29万1100円

部長クラスになると、役職のない人と比べて給与は2倍になります。

非役職者より25万円から30万円程度も給与が高いので、学費を除く生活費を非役職者と同じくらいで抑えれば、子どもが私立に行っても学費は十分捻出できると思われます。

課長クラスも、非役職者と比較すると17万円から20万円多いので、学費は問題なさそうに見えます。

課長に昇進しても生活はカツカツということも

役職別の賃金を見ると、課長に昇進すれば学費が増えても生活にゆとりがありそうですが、実際には家計が厳しいケースもあります。

主な理由は次の通りです。

  • 給与が上がると税金や社会保険料も高くなる
  • 昇進とともに気づかぬうちに生活水準が高くなっている
  • 教育熱心で学費が平均を大きく上回っている
  • 子どもが多いと学費も比例して増える
  • 給与が高いと児童手当などの公的給付が所得制限でもらえない

昇進しても学費で家計が圧迫される、という事態を避けるために、子どもが小さくお金がかからないうちに学資準備を始めましょう。

ライフサイクルに応じて住宅の購入や老後資金準備も必要になるため、長期的な生活設計が必要です。

まとめにかえて

子どもの成長とともに学費は高くなります。

私立に行く場合、月に10万円から15万円も必要になるケースも考えられます。

昇進によって給与がアップすると、学資に回せるお金も増えますが、必ずしも生活に余裕ができるわけではありません。

長期的な生活設計を立てて、早目に学資準備を始めましょう。

家計状況によっては、教育費を抑えることも必要です。

参考資料

  • 文部科学省「令和3年度子供の学習費調査の結果を公表します」
  • 日本学生支援機構「令和4年度学生生活調査結果」
  • 厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査の概況」

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