豪雨復興 推進本部会議開催せず 県方針、治水対策完了 次の段階へ

西日本豪雨からの復旧復興について協議する岡山県の「推進本部会議」。県は今年の開催を見送る方針を固めた=昨年7月5日

 岡山県内に戦後最大級の水害をもたらした2018年の西日本豪雨からの復旧復興を巡り、県が毎年7月の発生日前後に開いていた「推進本部会議」を今年は開催しない方針を固めたことが27日、県への取材で分かった。最大の土木事業となった倉敷市真備町地区を流れる小田川関連の工事が3月に完成し、一連の治水対策がおおむね終わったことが理由。被災地支援は発生から6年を経て、にぎわい創出や記憶の風化防止といった次の段階に移る。

 県は被災者の生活再建や農林、土木対策など多岐にわたる復旧復興事業を効果的に進めようと、豪雨発生後の18年8月、伊原木隆太知事がトップを務める推進本部会議を初開催。以後、昨年7月までに計8回の会合を重ね、豪雨関連施策の進捗(しんちょく)や支援の方向性を確認する重要な場となってきた。

 一方、入居者が最大9千人に上った県内の仮設住宅は23年7月に全て解消。堤防が決壊して真備町地区に甚大な被害を及ぼした小田川についても国、倉敷市と連携して取り組んだ「真備緊急治水対策プロジェクト」が今年3月に完了し、県は推進本部会議も役割を終えたと判断した。

 真備町地区では今なお、人口が被災前の水準に戻っていない上、人々の記憶の風化を防ぎ、教訓をどう次世代に伝えるかといった課題が浮上している。県総合政策局は「引き続き被災地に寄り添い、より長期的な視点で復興事業に注力していく」とする。

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